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【2017/10/18 19:58 】 |

番外編 ID:777PxiYb0さん
80:保守:2006/03/26(日) 03:02:37.51 ID:777PxiYb0
――オーストラリア山岳地帯。

周りを見渡しても山と荒地しか無くて、観光地だった面影は一切無い。
一言で言えば、戦場。
じりじりと太陽が照り付ける、茶色い閉鎖空間だ。

(;'A`)「…あぢぃ」

俺は愛用のジムスナイパー――ルーシーの腹ん中で、じっとその時を待ち続けていた。
望遠スコープで敵さんの様子を確認するが、何も動きは無い。まあ、あったらあったで大変なんだが。

今回の任務は敵補給基地の制圧、及び敵MSの破壊。
始めにブーン達の小隊が攻め入り、それを援護するのが俺の役目だ。
そのために俺はわざわざ太陽に近い山の上に陣取り、ルーシーも迷彩カバーでお洒落している。
そうじゃなきゃ、誰が好き好んでこんな場所に来るものかよ。

(;'A`)「…ローストチキンにするぞ、この野郎」

吸っていた煙草を頭上に掲げ、ついでに中指を立てる。だが、頭上のコンドルは相変わらず耳障りな声で鳴き喚いていた。
俺はお前の餌じゃねえってんだ、馬鹿鳥め。

……それにしても、隊に俺以外に狙撃が得意な奴がいないってどういうことだろうか。
ブーンは人がいいから文句を言った俺をなだめるが、あいつだって同じことを思っているはずだ。
狙撃は俺のステータスだが、これじゃ俺が隊のウィークポイントみたいじゃないか。

(;'A`)「…やっぱり、ダメだ…」

何度か試してみたが、やっぱり空調が壊れているらしい。
とりあえずハッチは開放しているが、いずれ閉めねばならぬ時が来ると思うとぞっとする。
俺の方が先に蒸し焼きにならなければいいんだが。

81:保守:2006/03/26(日) 03:14:36.66 ID:777PxiYb0
(;'A`)「…そろそろ、か」

太陽電池で動く腕時計は、作戦決行の三分前を指していた。
俺は咥えていた煙草を投げ捨て、今一度スコープで基地の様子を確認する。
やはり動きは……無い。
どうやら、そろそろサウナに篭らなきゃいけない頃合みたいだ。

ハッチを閉じ、俺はコックピットの天井から専用のスコープを引きずり出す。
グラスをハンカチで拭き、ついでに額の汗も拭き取る。
スコープを覗き込むと、俺とルーシーの視点が一つとなった。

俺は片膝立ちになっているルーシーの上半身だけ動かし、三脚付きのライフルを構えさせる。
ルーシーを通してライフルのスコープを覗き込むと、敵の基地には変化が訪れていた。
基地内にあった倉庫の一つから、勢い良く爆炎が上がる。どうやら、ブーン達が襲撃を開始したようだ。
スコープで確認すると、マシンガンを構えながら基地に走りこんで来る一体のジムの姿を確認する。
左肩に金髪のむくれた少女のマーク。ブーンの駆るジムだ。
ブーンのジムは基地内に駆け込むと、あっという間にまた別の倉庫の屋根を吹き飛ばす。
相変わらず、いい腕だ。俺の出番は無いかもしれない。

ブーンに遅れて、ショボとジョルジュのジムも颯爽と基地内に駆け込んで来る。
いい感じだ。基地内がみるみる内に荒らされていく。
今回の任務は、随分と楽勝かもしれない。

(;'A`)「…あ?」

その時、かろうじて生き残った格納庫から一体のMSが飛び出した。
だが、あまり見たことの無いタイプ。恐らくはザクシリーズの一種だろうが、俺の知らない機体だ。
ブラウンのカラーに、随分と厚そうな装甲。なんだか全体的に角張った印象がある。
頭から生えた二本の角みたいなアンテナが特徴的だった。

82:保守:2006/03/26(日) 03:32:11.56 ID:777PxiYb0
(;'A`)「なんだありゃ…グフ、じゃねえな…」

情報が無いというのは些か不安だが、態勢は三対一、俺を入れれば四対一だ。
角は二本だし、赤くもねえ。まず間違い無く負けることは無いだろう。

どうやら、ブーン達もそのザクの存在に気付いたようだ。三人はザクを囲むようにして連携を作る。
孤立無援のザクに対して右からショボ、ブーン、ジョルジュ。そして、山の上から俺がライフルで狙っている。
負けないどころか、勝てるもんなら勝ってみろって話だ。ザクのパイロットには同情する。もちろん、嘘だが。

恐らく牽制の意味で、ショボのジムがマシンガンを撃ち放つ。
ショボも射撃が得意なはずなんだが、どうやら相手はその見た目よりも身軽らしい。
ザクは腰の辺りと脚部から火を噴き、放たれた銃撃を回避する。そうして、右手に持っていたマシンガンで反撃した。
だが、狙われたのはショボではなく、ブーンだった。結果的に、ザクに一番近い位置にいたからだろう。
ブーンもそれには気付いたようで、楽々とその銃撃を回避する。

流石なのは、ブーンも避けつつマシンガンを撃ち返したことだ。
残念ながら弾丸は右肩のシールドで防がれたが、あの崩れた体勢からでもしっかりと当てている。
なんか最新鋭のガンダムとかいうMSに乗ってるパイロットはかなりの凄腕らしいが、あいつも結構やるんじゃないだろうか。

(;'A`)「あ…バカ」

誰にも聞かれやしないが、俺は思わず目の前の光景に向かって悪態をつく。
何をトチ狂ったのか、ジョルジュの奴がサーベルでもって特攻しやがったからだ。
なんであいつはあんなにも極端なんだろうか。
射撃が苦手だからって、すぐに格闘戦を望みやがる。いつか足を掬われるに決まって――

(;゚A゚)「!?」

その瞬間、ジョルジュのジムはザクの体当たりによって吹っ飛ばされた。

85:保守:2006/03/26(日) 04:17:39.31 ID:777PxiYb0
(;'A`)(言わんこっちゃねえっ…!)

ジョルジュのジムが尻餅をつき、ご丁寧にコックピットを相手の前に晒してやがる。
無防備にも程がある。このままじゃ、間違い無く狙い撃ちだ。

(;'A`)(どうする…撃つか?)

俺はザクに照準を合わせ、いつでも撃てるようにレバーに手を置く。
弾丸が当たればいいが、もし外せばジョルジュが危ない。
それに、狙撃手はその存在を知られること自体がアウトだ。あちらから攻撃する手段は無いだろうが、とにかく判断を誤ってはならない。
あくまでも冷静に……感情的になっては手元が狂う。
やるのなら、一発で仕留めなければダメだ。

だが、真っ先に動いたのはブーンだった。
ブーンのジムはザクに向かってマシンガンを乱射し、ザクは慌ててそれを回避する。
やけくそみたいに思える行動だが、その隙にジョルジュが機体を起き上がらせる。
ザクはブーンに反撃しようとするが、それもできない。何故なら、そのまた後ろでショボが銃口を向けているからだ。
味方をしっかりフォローできるのは、優秀なリーダーがいるおかげだ。俺は、心底隊にブーンがいることを感謝する。
……それにしてもあの単細胞、終わったらどうしてくれようかね。

気が付けば、丁度ブーンのジムとザクが向かい合う形になっていた。
まるで一騎打ちのような状態だが、わざわざそれに付き合うはずもない。
見れば、後方でショボが相変わらずマシンガンでザクを狙っている。山の上からは俺もだ。

すると、何やらザクは腰の部分に手を回し、何か小さなものを取り出した。

(;'A`)「…! クラッカー!」

86:保守:2006/03/26(日) 04:42:13.72 ID:777PxiYb0
ザクは取り出したクラッカーをブーンへと向かって放り投げる。
気付いたショボがマシンガンで後方から撃ち落としたが、クラッカーは空中で爆散し――なんとも丁度いい、めくらましとなった。

(;'A`)(相変わらず、なんて厄介な武器だ…!)

破片が飛び散り、一瞬状況が確認できなくなる。
俺は少しの変化も見逃さないよう注意してスコープを覗いたが、時既に遅し。ここまで聞こえる炸裂音の後、ブーンのジムが吹っ飛んでいく。
コックピットはどうやら無事みたいだが、MS一機を吹っ飛ばす威力。どう考えてもマシンガンを使ったとは思えない。
それに、あの炸裂音。恐らくミサイルか、もしくはバズーカの類だろう。あのMS、どうやら相当厄介な相手みたいだ。

(;'A`)(俺がやるしかない…な)

ショボはブーンの援護に必死で、ジョルジュはザクを完全に見失っている。もう、躊躇している暇は無い。
俺はスコープを赤外線のものに変え、再びザクの姿を探す。
すると、建物の裏に隠れるようにして熱を放出するシルエット。
……間違い無い、ビンゴだ。

(;'A`)(…隠れんぼは、終わりの時間だぜ…)

俺は全神経を目標――ザクに集中する。
弾丸はあくまでも一発。壁にしている建物ごと、奴の胴体を撃ち抜く。
もう照準は合わせた。後は、俺の指がスイッチを押すだけだ。

(;'A`)(…俺ならできる…俺ならできるさ…)

俺はまるで呪文みたいに、何度も心の内でそう呟く。それはもはや、自己暗示に近い。
だが、こうでもしなきゃレバーのスイッチは押せない。無理矢理にでも、信じ込まなければ。

88:保守の終わり、そして始まり:2006/03/26(日) 04:57:18.48 ID:777PxiYb0
(;'A`)(…!)

耳を劈くような爆音と、十字に伸びたノズルフラッシュ。機体が反動でガクンと揺れる。
弾丸は計算された弾道を描き、やがてザクの真後ろで土煙が上がる。
確かに残る手応えの後――ずず、とザクの体は崩折れた。

(;'A`)「……ふうーっ」

俺は頑張ったご褒美にと、肺に思いっきり空気を送る。
空調が壊れたコックピット内の空気は重く、そして熱い。
だが、今の俺には世界で二番目に良い空気だ。
もちろん一番はカリフォルニア。俺の、故郷の空気。

ハッチを開け、むわんとする熱気を外に送り出す。
銃声で逃げたかと思ったが、相変わらず頭上の上ではコンドルがぐるぐると旋回している。
悪いが、今後も俺はお前の餌になるつもりはないぜ。

「…ド…オ……クオ…」

(;'A`)「…お?」

無線から、雑音混じりで聞き慣れた声が響く。
ブーンも無事だったようだ。あの一撃で脳震盪でも起こしてるかと思ったが、聞こえる声はどうして、ぴんぴんしている。
どうやら後のことは任せ、俺は先に帰っていいそうだ。俺は適当に返事を済ませると、いざ胸元のポケットを弄った。

(;'A`)「…あれ、無い…?」

せっかく一服しようと思ったのに、箱に一本も煙草が残っていない。
どうしたものかと俺が途方に暮れていると、基地の方角からはもくもくと煙が上がっていた。……これ以上いると気分を害されそうだ。
気付けば、もうそろそろ夕焼けが見え始める頃だ。俺は最高の気分でそれを見るためにも、急いで基地へと帰って行った。
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【2006/03/27 11:57 】 | ブーンはガンダムのパイロット番外 | comment(0) | trackback(0)

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