55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 08:30:09.72 ID:H1RKSS2i0
~貧民都市ニータウン~ 
灰色の空が頭上を覆い、雲の切れ間からは朝日が顔を覗かせている。 
小鳥が朝を告げる中、ドクオは未だに夢の中にいた。 
       ('A`)   Zzz..... 
   /⌒⌒⌒⌒⌒ヽ 
  // ̄  ̄ フ / 
 / (___// 
(______ノ 
56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 08:32:41.39 ID:H1RKSS2i0
J( 'ー,`)し ドクちゃん、朝よ。 今日はいい天気だよ。 
(`Д)   うるさい死ね 
ドクオの家は母子家庭である。 
そしてドクオは母が嫌いだった。 
57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 08:34:09.47 ID:H1RKSS2i0
| ̄/|('A`) カチカチ 
|□  |σ ノ)    
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| 
ドクオは別段人付き合いを好むわけではなく、むしろ一人を好んでいた。 
58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 08:38:34.39 ID:H1RKSS2i0
しかし、そんなドクオにも思いを寄せる女性がいた。 
顔も見たことの無い隣人の女性である。 
果たしてどのような容姿なのか、またどんな性格なのかドクオは何も知らない。 
しかしドクオは確実に彼女への思いを募らせていた。 
時折聞こえる彼女の声、鼻歌、呼吸音、 
薄い壁の向こうからは全てが明確に聞こえドクオへと届いた。 
59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 08:39:42.53 ID:H1RKSS2i0
   シュッ 
    シュッ 
  ____( 'A`) 
  ヽ~/  (ヽ♂彡 
  [二二]  」 」 ", 
壁の向こうに思いをはせ、ドクオは今日も思いを解き放っていた。 
60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 08:44:19.53 ID:H1RKSS2i0
しかしドクオに冷酷な現実が突きつけられる。 
            \ 
  ('A`)    ギシギシ 
 ノ( ヘヘ     アンアン / 
61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 08:50:44.32 ID:H1RKSS2i0
('A`)「……ハジメカラ ワカッテタサ」 
初めから覚悟はしていた。 
それでもドクオの心には癒す術が無いほどの傷が出来てしまった。 
そしてドクオは…… 
62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 08:51:08.05 ID:H1RKSS2i0
       __________ 
      /━━━━━━━━━ \ 
     |┃| ̄ ̄|. 〇 〇 [大月]┃| 
     |┃| ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|┃| プオーン!!! 
     |┃|__||______|┃| 
     |┃               JR ┃| 
     |┗━━━━━━━━━┛| \('A`)/ ミ      
     |   ━━ ━━ ━━.  |   ( )  ミ 
     |     [中央.特快]    |   └└ミ 
     |      \_/      .| 
     |  〇     ━━━   〇  | 
     |___________| 
      │     │[=.=]|     | 
      └─────────┘ 
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 08:52:15.75 ID:H1RKSS2i0
キキィーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!! 
ドォンッ!!!!!! 
グシャッ・・・・・・・・・ 
92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 16:45:58.45 ID:H1RKSS2i0
白昼の駅に飛び散る血潮と肉塊、突然の惨劇に悲鳴をあげる人々。 
しかし、その何一つでさえドクオが認識することは無かった。 
いや、訂正しよう。 ドクオは暗闇の中、ある一つのモノを認識していた。 
93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 16:46:45.83 ID:H1RKSS2i0
       /⌒ヽ  
⊂二二二( ^ω^)二⊃  
     |■■■▼       ブーン  
      ▲■■▲  
      ノ>ノ   
  三  レレ  
('A`)「……アア、ブタガ ミエル」 
95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 16:49:17.90 ID:H1RKSS2i0
( ^ω^)「僕は死神だお」 
   シュッ 
    シュッ 
  ____( 'A`) 
  ヽ~/  (ヽ♂彡 
  [二二]  」 」 ", 
96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 16:50:58.64 ID:H1RKSS2i0
( ^ω^)「君には三つの選択肢が与えられるお」 
ドクオの奇行に触れることなく、死神は淡々と説明を続けた。 
97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 16:53:27.42 ID:H1RKSS2i0
( 'A`)「ナルホド……」 
( ^ω^)「もちろん結論を急ぐ必要はないお。 
       今日一日猶予を与えるから、よく考えて欲しいお」 
98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 16:54:35.42 ID:H1RKSS2i0
一日の猶予、その言葉を聴いた瞬間ドクオはある考えが浮かんだ。 
( 'A`)「アイタイヒトガ イルンダ」 
99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 16:57:44.57 ID:H1RKSS2i0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 
100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 16:58:24.60 ID:H1RKSS2i0
( ^ω^)「あれがそうかお?」 
( 'A`)「アア、ソノヨウダヨ」 
101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 17:00:11.23 ID:H1RKSS2i0
ドクオの会いたい人とは隣人の女性であった。 
ドクオのイメージしていた容姿では無かったが、 
一目見れたという事実だけがドクオの心を満たしていた。 
102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 17:02:39.23 ID:H1RKSS2i0
( 'A`)「コレデ オモイノコスコトハ・・・」 
( ^ω^)「おや? 様子が変だお」 
103:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 17:05:17.75 ID:H1RKSS2i0
死神の言葉にドクオも視線を向ける。 
そこには、マスクをつけた男が女性に覆いかぶさっている光景があった。 
104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 17:06:30.17 ID:H1RKSS2i0
(;'A`)「アワワワワワ………ナントカシナキャ…」 
( ^ω^)「忘れるなお、君の肉体は既に死んでいるんだお」 
105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 17:08:14.82 ID:H1RKSS2i0
目の前で起こるであろう惨劇に為す術も無く、ドクオは唇をかみ締める。 
既に痛みは感じない。 それが自身の無力さをさらに痛感させた。 
106:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 17:09:21.91 ID:H1RKSS2i0
一瞬の沈黙、そしてドクオが口を開く。 
107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 17:10:30.15 ID:H1RKSS2i0
( 'A`)「オレガ ジゴクニ イケバ… 
    ヒトリ ミチヅレニ デキルンダナ?」 
108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 17:10:57.80 ID:H1RKSS2i0
      /  , -''"´     \ 
  / /  /  ,. ‐'''""~´ ̄ ̄\ 
 V /   /  /             } 
  ∨ /  / ,,.. -一ァ',二二二{ 
   V  ,..,/ ,.ィ彳 f==<r'二二二{、    | ̄ ̄              __|__ | 
   ∨| ヘ`<=''~   弋ッ-ミ'''テ~ナ/    |ー― \/ ´ ̄| 「 ̄`  |   | \/ 
    〉'| | ト、   i{   ,..`二/ =|/''′     |__ /\ 匚]__ !__,  |_ |  __/ 
   //ヽヽぅ   ヽ     {   =| 
   //匚 ̄]〕       丶,-‐ ,>      ( そ の と お り で ご ざ い ま す ) 
  /´r┐|__,|ト、       、____`7´ 
__人..二.」'   l>、    ヽ`,二/ 
     ´"''ー-∟_\  ∠三ノ 
―-、__        ``ヾニ='′ 
     `ヽ      /、 
       |‐- ...__   /ヽ\_ 
         \    ̄   `ヽ \ 
111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 17:12:21.82 ID:H1RKSS2i0
再びの沈黙、そして再びドクオが口を開く 
112:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 17:13:51.14 ID:H1RKSS2i0
( 'A`)「……ジゴクニ イッテヤルヨ」 
( 'A`)「ソノカワリ アイツモ ミチヅレダ!!」 
113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 17:14:34.31 ID:H1RKSS2i0
( ^ω^)「把握したお」 
116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 17:16:35.54 ID:H1RKSS2i0
突如、体の芯が冷え切ったような感覚に襲われる。 
続いてやってきた落下感。 ドクオはユックリと目を閉じた。
117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 17:17:19.88 ID:H1RKSS2i0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  
118:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 17:20:26.27 ID:H1RKSS2i0
   /;;;;;;\___/;;;;;;;;ヽ  
   /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:  
  . |;;;;;;;;;,-‐‐;;;;;;;;;‐‐-、;;;;;;;:;:|   
  |;;;;;;;;;;;; _,;;;;;;;;;; _, :::;;;;;;;:;:|   ここはどこだ…? 
.   |;;;;;;;;;;;;;;;;;::<;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.::  
   ゙i;;;;;;;/( [三] )ヽ ;;;;;;;;;;/  
   /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙i  
119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 17:22:49.89 ID:H1RKSS2i0
( ^ω^)「人には三つの選択肢が与えられるお……」 
( ^ω^)「一つは地縛霊となり永久に地表を彷徨い…」 
( ^ω^)「もう一つは、誰か一人を呪い殺し自分も地獄に行く」 
( ^ω^)「そして最後は成仏するんだお」 
120:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 17:23:40.02 ID:H1RKSS2i0
   /;;;;;;\___/;;;;;;;;ヽ  
   /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:   
  . |;;;;;;;;;,-‐‐;;;;;;;;;‐‐-、;;;;;;;:;:|   
  |;;;;;;;;;;;; _,;;;;;;;;;; _, :::;;;;;;;:;:|   そっ、それなら俺は成仏するぜ!!  
.   |;;;;;;;;;;;;;;;;;::<;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.::     早く楽になりてぇよwwwwwwww 
   ゙i;;;;;;;/( [三] )ヽ ;;;;;;;;;;/  
   /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙i  
122:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 17:24:26.13 ID:H1RKSS2i0
( ^ω^)「しかし……」 
突如、周囲の空気が凍りついた。 
123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 17:26:44.14 ID:H1RKSS2i0    
        /´〉,、     | ̄|rヘ  
  l、 ̄ ̄了〈_ノ<_/(^ーヵ L__」L/   ∧      /~7 /)  
   二コ ,|     r三'_」    r--、 (/   /二~|/_/∠/  
  /__」           _,,,ニコ〈  〈〉 / ̄ 」    /^ヽ、 /〉  
  '´               (__,,,-ー''    ~~ ̄  ャー-、フ /´く//>  
                                `ー-、__,|     ''  
        ___  
      /      \  
   /          \  
  /   ⌒   ⌒   \  
  |      (__人__)    |  お 前 に そ ん な 権 利 が あ る と 思 う な お  
  \              /  
125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 17:28:38.02 ID:H1RKSS2i0
       /                    .\ 
     /                       .\ 
 \ /                          \ / 
   \      ___________     . / 
    \   ./                \   / 
     | \/                   \/...| 
     |  |                       |  | 
     |  |                       |  | 
  .._ |_|                       |_|_.. 
     |  |     さあ‥ お逝きなさい…    |  | 
     |  |                       |  | 
     |  |                       |  | 
     |  |                       |  | 
     |  |/                   ..\|  | 
     |  |                       |  | 
   .._|/|      _ _ _ _ _ _ _ _     ...|\|_ 
  / ..|  |   _-_-_-_-_- _   |  |  \ 
     |  |/_/━ ━ ━ ━ ━ ━\_\|  | 
   .._| /_/━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ \_\.|_ 
     /_/━  ━  ━  ━  ━  ━  ━ \_\ 
   /  /━  ━  ━  ━  ━  ━  ━\  \ 
126:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 17:29:03.61 ID:H1RKSS2i0
   /;;;;;;\___/;;;;;;;;ヽ  
   /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:゙i つ  
  . |;;;;;;;;;,-‐‐;;;;;;;;;‐‐-、;;;;;;;:;:| わ  
  |;;;;;;;;;;;; _,;;;;;;;;;; _, :::;;;;;;;:;:|ぁぁ  
.   |;;;;;;;;;;;;;;;;;::<;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.::|あぁ  
   ゙i;;;;;;;/( [三] )ヽ ;;;;;;;;;;/ああ  
   /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙iぁあ  
127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 17:29:35.73 ID:H1RKSS2i0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
128:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 17:31:05.36 ID:H1RKSS2i0
( ^ω^)「同じ人間で、どうしてこんなに差があるんだお」 
( ^ω^)「ドクオのように気高い精神の奴もいれば…」 
( ^ω^)「救いようの無いゲス野朗もいるお」 
129:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 17:32:56.07 ID:H1RKSS2i0
( ^ω^)「人間は不思議な生き物だお…」 
一言呟くと、死神は黒衣を翻し何処かへ去っていった。 
131:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/27(月) 17:37:12.30 ID:H1RKSS2i0
内藤ホライゾンは何処へ行くのだろう。 
きっと次に訪れる死の匂いのする場所へ行くのだろう。 
人間についての考えを巡らせ、今日も内藤ホライゾンは走り続ける。 
       /⌒ヽ  
⊂二二二( ^ω^)二⊃  
     |■■■▼       ブーン  
      ▲■■▲  
      ノ>ノ   
  三  レレ  
第二話『MY SAD LOVE』・完 
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