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【2017/08/24 06:27 】 |

( ^ω^)ブーンはガンダムのパイロットのようです part10
26:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 00:26:22.63 ID:4JTp7ABH0
紅い閃光は"スルーター"に向けて走り、左腕をもぎ取って離脱していった
その光を呆然と見詰めていると、それは動きを止めた
('A`)「"アブソリュート"……!?」
見た目は"アブソリュート"に類似していて、一瞬見紛ったものの、一目で違うことがわかった
背中の翼が直線的な形状になり、大きくなっていた
そしてそれは、淡く光を放っている
赤い機体がこちらを振り向き、"ヘイト"へと向ってきた
手に持った長剣を警戒し、心もとない光を放っているだけのサーベルをせめて構える
しかし、それは攻撃してくるそぶりは見せず、"ヘイト"の前で止まった

28:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 00:29:07.37 ID:4JTp7ABH0
( ^ω^)<ドク、大丈夫?>
突然通信が入り、驚く
通信に驚いたわけではない、その通信機の中に居た人物に目を見張る
('A`)「なっ!? お前……なんで……!?」
( ^ω^)<ドク、これ>
赤色の機体が、その手に持っていた長剣をこちらに差し出した
自分が使っていた、ブーンに止めを刺した剣
"グラム"……
('A`)「……お前、どういうつもりなんだ!? 急に現われて、俺を助けて!」
死んだと思っていたものが生きていた動揺と、行動の意図が読めない苛立ちで、問い詰めるように叫ぶと、ブーンは少しだけ微笑んだ
( ^ω^)<僕は、僕のしたいことをするから>
そう言って、通信が切れた
背にあった巨大な諸刃のランスを取って、赤い機体は飛び立っていく
その時、再び通信が入った
ヱイル<こちらはエリュシオンだ! 今そなた等が行っている戦争という行為は、何も生み出しはしない! 無意味な争いなど止めて、手を取りあう道を選べ! 互いに望んでいるものは、同じのはずだ!>
渡された剣を、強く握り締めた

31:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 00:32:14.70 ID:4JTp7ABH0
ブーン -ドクに墜とされて-

光の中を歩いている
暖かく、柔らかい光の中
ここはどこだろう
「はじめまして、だね」
後ろから声をかけられ、振り返る
そこには、僕が立っていた
( ^ω^)「君は……」
「そう、君だよ。……でも、違う。同じじゃない。似ているだけ」
そう話す僕は、悲しい顔をしていた
そうか、彼は記憶……
( ^ω^)「僕が、ツンを……」
「知ってるよ、見ていたから」
きっとこの僕は、僕を憎んでいるだろう
殺したいと、"ヘイト"のパイロットと同じように
殺せば殺しただけ、憎まれる
だが、銃を置かないと戦争は終らない
でも、相手が銃を持っているのに、自分だけがそんなことを出来るわけがない
撃ってきたら抵抗も出来ず、誰も守れない
仕方のないこと
そしてまた、繰り返されていく

34:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 00:36:02.47 ID:4JTp7ABH0
「本当にそう? 仕方ない?」
僕が、問うてきた
「君はツンが……彼女が憎かった? 死んでほしかった?」
違う、そんなはずはない
僕は彼女のことを、何も知らないのだから
「そして君は、僕がマナを殺したら、僕を殺したいって思うよね……?」
( ^ω^)「…………」
彼女が殺されそうになったとき、僕は……
ただがむしゃらに、敵を、彼女から遠ざけようと、殺そうとした
あの殺伐とした感覚
怒りと憎しみに浸って、我を忘れた
「だからもうやめにしよう、こんなこと」
僕が、悲しそうに言った
「君はマナを守りたかっただけ。僕はツンを守りたかっただけ。……同じなんだ、僕も君も……皆も。だから―――」
撃ってしまったから、奪ってしまったから
故に互いに撃ち合い、奪い合い、深く暗いところへ、螺旋を下ってゆく
「苦しいだけ、悲しいだけだよ」
( ^ω^)「…………」
「本当は、何処にも敵なんかいないんだ。誰も、誰かの大切なものを奪おうなんて、きっと考えたりしてないから」
守ることは、正しいこと
だが、それが誰かの守っているものを奪うことになることが、間違っている

36:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 00:37:36.48 ID:4JTp7ABH0
「だから、撃つのも撃たれるのも、止めればいい。皆、誰かを撃たせたくない、幸せになりたいだけなんだから。……きっと、わかってくれる」
( ^ω^)「でも、僕はもう……」
「大丈夫……」
僕が、僕に手を差し出した
彼の手を見つめ、自分の手を見つめる
敵の命を奪ってきた、汚れた手
「一緒に行こう。きっと二人なら、止められるから」
( ^ω^)「……君は、僕が憎くないの?」
手を受け取ることが出来ず、立ち尽くす
僕は彼女を、彼の大切なものを、奪ってしまったのだ
撃つ撃たない以前に、もう奪ってしまった
もう、取り返しがつかない
「……失ったら、戻ってはこない。それを知っているからこそ、失わせたくないんだよ」
微笑みをたたえながら、彼は言った
「それに僕達はまだ、終ってなんかいないよ」
再び手を、僕が差し出しす
( ^ω^)「終ってない……?」
「汚れたら、洗えばいい。……元には戻らないけれど」
もう一度手を見つめ、握り締める
差し出された手を、今度こそ受け取った
「行こう。僕達には、それをする責任があるから―――」

37:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 00:39:25.30 ID:4JTp7ABH0
(  -ω-)「…………」
( ^ω^)「…………」
深く沈んでいた意識が、戻ってきた
ゆっくりと体を起こし、辺りを見回すと、無為質な白い壁に薬品が大量に置かれた棚がいくつも置いてあった
どうやらここは医務室で、自分はベッドに寝かされていたらしいと、寝起きのわりにすぐに理解できた
気持ちが落ち着き払っている
やらなきゃならないことがある
???「目が、醒めたの……?」
不意に話し掛けられ、ゆっくりとそちらを向く
ベッドサイドに、髪の長い少女が座っていた

38:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 00:40:19.93 ID:4JTp7ABH0
ξ゚⊿゚)ξ「馬鹿……馬鹿……!」
( ^ω^)「……ごめんね、ツン」
泣きはらした少女を、優しく胸に抱き寄せる
( ^ω^)「それと……ただいま」
優しく微笑みかける
ツンは驚いたように顔を上げた
ξ゚⊿゚)ξ「え……?」
( ^ω^)「もう悲しいことは、お終いだから……」
ツンは、くしゃりと顔を歪めると、堰を切ったように泣きじゃくる
今度はもう失ったりしない
悲しい思いは、させないからね

39:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 00:42:10.36 ID:4JTp7ABH0
しばらく泣きはらして落ち着いたツンから体を離し、辺りを見回してみる
窓の外には、いつか見た風景が広がっていた
僕が、ツンを墜とした場所
そして僕が、ドクに墜とされた場所……
( ^ω^)「ここは、エリュシオン?」
ξ゚⊿゚)ξ「そうみたい……」
どれくらいの間、気を失っていたのだろう
体中が重く、痛い
少しでも情報をと、ベッドから降りて―――
( ^ω^)「あ……」
ベッドから降りようと、掛け布団をどけた
足が、無い

41:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 00:43:25.49 ID:4JTp7ABH0
ξ゚⊿゚)ξ「ブーン……足が……!」
ツンが両の手で顔を抑え、再び目に涙をためる
左足の、膝から下の部分が千切れ、なくなっている
処置は既に施されていた
その部分を見つめ、目を細める
そうか
これは、罰
( ^ω^)「…………」
愚かにも戦って、人の命を奪って、それから目を逸らして、正当化して
だが、不思議と苦しくも、悲しくも無かった
むしろ……

42:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 00:44:19.76 ID:4JTp7ABH0
ξ゚⊿゚)ξ「ブーン……っ……」
ツンが、また涙をこぼしてしまう
( ^ω^)「泣かないで……。僕は、悲しくないから」
これは、罪、罰なんだ
でも、まだ生きている
差し伸べられる手が、言葉が、残っている
まだ、手をつなげる
( ^ω^)「足がなくなっても、まだ生きてる」
神がいるのなら、感謝をしよう
贖罪を、まだ生きて何かを出来るようにと、小さくしてくれたことに
それとも、生きてまだ贖罪をしろと、そういうことなのだろうか
( ^ω^)「ツン、僕、やらなくちゃいけないことがあるんだ」
ツンが涙を拭いながら、こちらを見つめた
( ^ω^)「"アブソリュート"が何処にあるか、知らない?」

43:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 00:45:12.44 ID:4JTp7ABH0
痛みに顔をしかめながら、ツンの肩を借りてゆっくりと歩いていく
この場所は一般から隔離されているのか、人が見当たらない
しかし、今はそれで都合がいい
( ^ω^)「ツンは知ってるの? "アブソリュート"が何処にあるのか」
ξ゚⊿゚)ξ「"レイジ"から助けてもらったときに、確かこっちにドックがあったはずなの……」
そういえば、何故僕たちは助かっているのだろう
運良くコックピットが生きていたとしても、下は海
アイベルの前例があるものの、あの時は技術の獲得のため、かなり急いでいた
それに僕は、足を失っている
打ち上げられて助かったというのなら、足は腐り、死んでいただろう
ξ゚⊿゚)ξ「……連中は、海の底で待ち構えていたのよ。きっとMSとか、武器とかを回収するために」
( ^ω^)「え?」
素直に感謝できないでいるツンの言葉に、首をかしげる
この国は中立国家
MSや、それの武器、技術など、要らないはずだ

44:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 00:46:08.83 ID:4JTp7ABH0
ξ゚⊿゚)ξ「あ、あったわ。ここよ……」
温かみの感じられない道の先
出口の向こうに、"アブソリュート"の赤が見えた
おぼつかない足取りで、近づいてゆく
しかし"アブソリュート"は、既に用を足さぬ鉄屑となり、見るも無残な姿となっていた
失われてしまった力に、肩を落とす
傍らに長大な剣が置いてあった
"グラム"だ
???「こんな所で、一体何をしている?」
不意に話し掛けられ、どきりとする
隣でツンが小さく悲鳴をあげ、そちらを見やると、なによ、と目を逸らした
声に振り返ると、そこにはヱイルが仁王立ちで、こちらを睨んでいた

45:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 00:47:39.22 ID:4JTp7ABH0
ヱイル「誰が立ち入ることを許可した?」
( ^ω^)「あ、その……」
しどろもどろになりながら、何かいい言い訳はないかと考える
その時、ふと思い出した
記憶を失っていた時、この国で出会った少女
( ^ω^)「君、あの時の……」
ヱイル「…………」
思えばあの時、彼女が言っていたことは正しかった
誰かを守るといって、誰かのの大切なものを奪う
それは間違っていて、だからこそ戦いが終らない、終われない
強すぎる憎しみのせいで、銃を撃つことをやめられない
奇麗事なんかじゃ、なかった
戦いは人の心を麻痺させ、腐らせ、蝕んでいく
すぐそこにあった答えに、目が行かなくなってしまう

46:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 00:49:09.20 ID:4JTp7ABH0
ヱイル「結果が、それだ」
ヱイルはブーンの足に目を向けると、低く言った
ヱイル「戦い続けて、そなたは結局失っただけではなかったか?」
何も言い返すことが出来ず、押し黙る
隣でツンが、ヱイルを睨んでいた
( ^ω^)「あの……」
ヱイル「義足を用意しよう。夜、私の部屋に来い」
それだけ言うと、ヱイルは踵を返し、ドックの出口へ向う
( ^ω^)「"アブソリュート"を、直してもらえませんか!?」
青の髪の少女は、一瞬だけ歩を止めると、そのまま出て行ってしまった
せっかく答えが出ても、力が無い
気持ちだけあっても、目指す世界へたどり着くことは出来ないのだ
その事実に、歯噛みする
そして、果たして戦いを止めることが出来るだろうか
失って失って、何もかも無くなって、その先にやっと答えを理解できた
ただ口で伝えても、以前の僕のように、聞き入れてはもらえない

47:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 00:50:31.90 ID:4JTp7ABH0
どうすれば、なにをすれば、連鎖を止められる? 
決意を阻む壁が大きすぎる
失った足も手伝って、挫けそうになる
ξ゚⊿゚)ξ「ブーン、部屋に戻ろう。まだ怪我だって治ってないでしょ」
( ^ω^)「うん……。ごめんね、つき合わせて」
ブーンの言葉を聞いて、ツンは一瞬顔を伏せた後、言った
ξ゚⊿゚)ξ「べ、別にアンタの心配なんかしてないわよ」
そんなツンにつられて、ブーンは微笑んだ
そうだ、こんな所で諦めてはいけない
足が無いから、立ち上がれないわけじゃないんだ

48:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 00:53:27.31 ID:4JTp7ABH0
夜に私の部屋に来いと言われたものの、何処に何があるのか勝手がわからず、彷徨うようにして歩いていた
松葉杖を貰ったものの、歩くのには一苦労だった
汗が微かに滲み、少し休憩にと無機な壁に腰を下ろした
夜の冷気で冷えたそれが、体の熱を冷ましてくれる
ヱイル「どうした、座り込んでしまうのか?」
道の端から声が聞こえ、静かな通路に反響して響いた
ヱイルが歩いてきて、ブーンの前に来ると、佇んだ
立ち上がろうとするも、上手く立ち上がれない
ヱイルは手を差し伸べることもせず、口を開いた
ヱイル「そなたが力を欲しがるのは、何故だ? また身を投じようと、そういうことなのか?」
微かな苛立ちを孕んだその声に、眉をしかめる

49:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 00:55:01.49 ID:4JTp7ABH0
ヱイル「そなたが乗っていた機体を直すことは出来る。だが、それでまた戦いを続けるというのなら、それを許容することは出来ない」
( ^ω^)「違うお……」
ヱイル「では、何故だ?」
冷たい壁を背にしながら、ブーンは左足を見つめた
ツンは生きていた、自分も生きていた
足は失ったけれど、まだ、誰も喪ってはいない
まだ間に合う
( ^ω^)「もう、悲しいのは嫌だから……。皆、考えてることは同じなのに、戦って……。止めたいんだ、それを」
ヱイル「…………」
( ^ω^)「皆に、悲しい思いはして欲しくないんだ」

50:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 00:56:34.63 ID:4JTp7ABH0
言葉を言い終える
このままでは、世界そのものが悲しみで覆われてしまう
そんなのは、嫌だ
それまでブーンの話を黙って聞いていたヱイルが、手を差し出した
ヱイル「手を取れ。共に来い」
( ^ω^)「え……」
ヱイル「私の望む世界は、理由こそ違えど、そなたと同じだ。……故に、同志として力を貸そう」
そういって、ヱイルは微笑んだ
差し出された手をとって、ブーンは立ち上がった

51:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 00:59:20.00 ID:4JTp7ABH0
ヱイル「そなたは優しいのだな」
( ^ω^)「え?」
長い通路を歩いていると、ヱイルが口を開いた
言葉の意図するところがつかめず、聞き返す
ヱイル「私は私が嫌だからこそ、私の望む世界に、平和な世界に変えたい。……だが、実のところはそなたも同じではないのか?」
( ^ω^)「同じ?」
ヱイル「皆が悲しい思いをしている世界に、そなたは居たくはないのだろう?」
換言すれば、そういうことなのかもしれない
皆が誰かを憎み、誰かの死に慟哭して
そんな世界は嫌だ

52:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 01:01:06.60 ID:4JTp7ABH0
ヱイル「そなたの世界は、そなたのものだ。皆のためと大儀を掲げずとも、まず自分のことを考えればよい」
そう言われて、改めて考えてみる
僕は、何が嫌なのだろうか
ツンを殺すのも、マナを殺すのも、ドクを殺すのも、誰かを殺すのも、誰かが戦っているのも、嫌だ
それをしなくていいようにするには、やはり世界から戦いをなくさなければならない
僕が幸せと感じられる世界にするには、そうしなければならない
ヱイル「理由はどうあれ、行きたい世界が同じならば、自ずと進む道も同じとなろう。……私とそなたのようにな」
( ^ω^)「……うん」
心なしか満足げに話す彼女の言葉を、心強く感じた
一人じゃない
ξ゚⊿゚)ξ「…………」
少年を心配してついてきていた少女が、見ていた

53:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 01:02:38.46 ID:4JTp7ABH0
微かな明かりしか点いていないせいでわかりにくかったが、しばらく進むとハンガーのような場所についた
勝手知ったるといった感じで、迷うことなく中に入ってゆく彼女に少し違和を感じる
照明のスイッチを手探りで探しているのか、壁を伝って歩くヱイルに声をかける
( ^ω^)「あの、力を貸いてくれるって言ってくれたけど……」
ヱイル「ああ、それがどうかしたのか?」
( ^ω^)「この国には、MSがあるの?」
先程ちらとツンに聞いて、その可能性があるかとは思ってはいた
しかし所詮は島国で、決して大きいとはいえない国
それにMSがあったとしても、地球連合や宇宙連合の機体に太刀打ち出来るだろうか
ヱイル「……そなたは、この国をなんだと思っている?」
( ^ω^)「え? ……中立の、国?」
ヱイル「……戦争に参加しない国家にも、いろいろな形があるのだ。ただ見ている国。口を出すだけの国。そして―――」
ヱイルが、パチンと照明のスイッチを上げた
ヱイル「止めようとする国だ」

54:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 01:04:07.03 ID:4JTp7ABH0
( ^ω^)「凄い……」
照明に照らされて、3機のMSの姿が顕わになる
機体のフレームは"アブソリュート"などのVナンバーと似通っていて、諸所に独自の武装と思われるものが装備されていた
影の調子で余計に荘厳に見える風体が、この機体の威力を示していた
それにしても、一体こんなものどうやって……
ヱイル「我々は、戦争を止めようと力を蓄えていた。……あまり誉められたものではないが、各国の機密事項に手を出し、このような事態を想定して、これらを」
この国はそういう人間が集まっているのだ、とヱイルは付け足した
もう一度MSを見上げる
赤と白と、黒のMS
( ^ω^)「ホントにいいの? 同志っていったって、これは……」
流石にこれを、手放しで受け取ることには抵抗があった
彼等の想いがつまったものを、いくら同じ目的とはいえ自分が乗り回すのは憚られる
ヱイル「よいのだ。……剣を造っても、振るう戦士がいない」
そういうと、ヱイルはキャットウォークを歩いてMSに向った
それに付き従い、歩いてゆく

56:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 01:05:29.41 ID:4JTp7ABH0
ヱイル「我等が正しいと信じてはいるが、やはり結局のところ負ければ間違っていたとなる。力及ばず敗れるというのは、困る。……故に、頭を下げるのはこちらの方だ。……感謝を」
( ^ω^)「うん。……じゃない、感謝なんかしないで。僕が戦うのは、僕のためだもん」
少し笑いながら、そう返す
それもそうだったな、と怜悧そうなヱイルの顔がはにかんだ
ヱイル「では、頼む。……たったこれだけの戦力で、世界に抗うということは難しいかもしれん。しかし……」
ξ゚⊿゚)ξ「こっそりついてきてみれば、何の話よ? バカじゃないの? そんなの、無理に決まってるわよ」
突然の声に驚いて、闖入者の方に目を向ける
ツンが腕を組んで、キャットウォークにもたれていた

57:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 01:07:28.46 ID:4JTp7ABH0
ξ゚⊿゚)ξ「ブーン、宇宙連合に戻るわよ。これ以上、こんな胡散臭いところなんかに居る必要なんかないわ」
かつかつと足音荒くツンはヱイルに近づき、見下すように睨んだ
ヱイルも負けじと睨み返す
ξ゚⊿゚)ξ「助けてくれてありがとう。でも、私とブーンは帰るわ。ほら、ブーン」
ツンがブーンの腕をつかみ、ぐいと引っ張った
しかし、ブーンは動かなかなかった
( ^ω^)「……ごめん、僕は戻らない」
拒否されるはずがないと思っていたのか、ツンは面食らった顔になった
ξ゚⊿゚)ξ「……なんでよ! ドクもアイベルも……私も……皆、皆待ってるのよ!?」
( ^ω^)「だって……僕はもう、片方だけにいることは出来ないから……」
ξ゚⊿゚)ξ「どういう意味よ!? 世界のためとか……そんなこと、なんでブーンがそんなことしなきゃいけないのよ!?」
( ^ω^)「もしツン達の側についたら、マナ達を殺さなきゃいけなくなっちゃう。その逆も……嫌なんだ。だからもう、皆戦わないで、って」
二人の僕が、互いに違う場所に大切な人達を作ったから
どちらかに行けば、どちらかと敵対してしまう
だからどちらにもいけない、それは出来ない

58:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 01:10:40.21 ID:4JTp7ABH0
ξ゚⊿゚)ξ「だから……だからってそんな! ブーンがやらなくたって!」
( ^ω^)「じゃあ、誰がやればいいの?」
ξ゚⊿゚)ξ「それは……」
言い返せず顔を俯け、眉を八の字に寄せる
嫌なのはブーン、なら彼がやらないで誰がやるというのだ
責任感の強い彼が、人任せにできるとは思えない
ξ゚⊿゚)ξ「なによ……。私が、私がどれだけ辛い思いをしたかわかってるの!? やっと戻ってきたと思ったのに! それなのにまた違う所へ行くっていうの!?」
目に涙をためながら、ブーンにすがる
どうしようもなくなった時に、出る涙
私が泣きそうになると、ブーンはいつも折れてくれた
ごめんね、僕が悪かった、ツンの言う通りにするよ、と
しかし、ブーンは何も言わなかった
ブーンの決意は、強固なものなのだということを、ツンは悟った

60:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 01:12:18.55 ID:4JTp7ABH0
ξ゚⊿゚)ξ「……ブーンは……本当に戦争を終らせられると思ってるの……?」
ブーンが戦場へ出て行って、このヱイルとかいう女が呼びかけたところで、きっと何も変えられないだろう
無駄死にするだけだ
ブーンは、それをわかった上でこんなことを言っているのだろうか
( ^ω^)「それはわからないお。でも、きっと終われない、このままじゃ。誰かが止めなくちゃ……」
ξ゚⊿゚)ξ「…………」
ツンが寄せていた眉を戻し、はぁと溜め息をついた
ξ゚⊿゚)ξ「バカね、ホントに救いようがないわ」
( ^ω^)「ごめんお……」
ξ゚⊿゚)ξ「いいわよ、もう。……それに、そういうところも嫌いじゃない、っていうか……」
少し勇気を出して好意をちらつかせてみたが、ヱイルが居ることを思い出して濁す
ブーンをつかんでいた腕を、乱暴に放した
ξ゚⊿゚)ξ「とにかく、アンタが行くなら私も行くわよ! アンタに死なれたら困るからね。私が守ってあげるわ」
この言い回しも久しぶりだなと、ツンは感じた
いいかげん私も素直にならないと、ブーンを誰かに取られてしまうかもしれない
とにかく、やっと戻ってきてくれたブーンを、また失うわけにはいかない
彼が居てこその世界だから

61:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 01:14:02.05 ID:4JTp7ABH0
( ^ω^)「ツン……。ホントにいいのかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「なによ、文句あるの?」
( ^ω^)「あ、や……。ないお……」
心配して聞いてきたブーンを、けんか腰で突き放す
先程これではまずいと思ったばかりなのに、と思ったが、いまさら性格を変えられはしないだろうと内心で溜め息をつく
はたと気がつき、ヱイルに向き直る
ξ゚⊿゚)ξ「あ、あの、さ……。私にもMS、もらえるかしら……?」
けんか腰で口を利いたことを悔やむ
"レイジ"は、"アブソリュート"と五十歩百歩といった状態だし、仮にMSを手に入れるために宇宙連合に戻っても、もらえるのは"ストラス"程度のMSだろう
どう考えても連合の"ヘル"の群れには、太刀打ちどころかまともに戦闘についていくことも出来ないかもしれない
"ヘル"のことは、地球連合が戦果を誇張した映像の配信を受信して、既に知っていた
誇張が多少あったとはいえ、そのスペック差は子供が見てもわかるだろう
ヱイルの表情をうかがうと、やはりというか仏頂面だった
ξ゚⊿゚)ξ「あ、えと……ごめん! 私、あんなこと言ったけど、本当は……」
本当は、なんだろう
アンタにブーンが唆されてるんだと思って、とでも怒鳴ってみようか
その先が思いつかず、頭を下げた格好のまま黙り込んでいると、ヱイルが溜め息をついた

62:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 01:16:02.80 ID:4JTp7ABH0
ヱイル「同志となることを拒みはしない。が、そなたは戦えるのか?」
案外、そこで言葉を止めたことが功を奏したのかもしれない 
本当は同志ではなく、ブーンに付いて行くだけなんだけど、と思ったが口にしない
ヱイルの言葉を借りれば、行きたい世界は結局同じなのだから、問題はないと思う
ξ゚⊿゚)ξ「戦えるも何も、ブーンなんかより私のほうが何倍も強いわ」
そう自信を持って答えると、ヱイルは驚いたように眉を上げ、ブーンに顔を向けた
ブーンが苦笑いをしながらもこくんと頷くと、ヱイルも返し、そしてツンに手を差し出した
ヱイル「わかった。そなたも、戦士として共に戦ってくれ」
その手を受け取って、握手をする
ξ゚⊿゚)ξ「任せて。戦闘なら負けないから」
やっと、ブーンと肩を並べられる時がきた
その事実に、胸が躍る
さっさと終らせて、幸せに暮らそう
そう心の中で考えて、ツンは白のMSを見上げた

63:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 01:18:12.27 ID:4JTp7ABH0
ξ゚⊿゚)ξ「最後の一機は誰が乗るのかと思ってたら、あいつが乗るみたいね」
戦艦へ乗り込み、用意されたパイロットスーツに着替える
地球連合が再びの侵攻戦を開始するという情報を得、それを食い止めるという目的で宇宙へ上がってきた
受け取ったMSの慣熟飛行は、まだ一度も行っていない
初運行が、そのまま初戦闘というわけだ
しかし、貰ったスペックデータには"アブソリュート"などVナンバーよりもかなり高性能と記されていた
左足に装着した義足の調子もよく、おそらく特に問題なく機体を動かすことができるだろう
ん? そうじゃないか、少し慣れが必要……
ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと! 聞いてるの!?」
( ^ω^)「うわっ!? な、なんだお……?」
考え事をしていると、既に着替え終わってくつろいでいたツンが大声を上げて、ビックリして跳ね上がる
というか、人が着替えている時はせめて他所を向いていて欲しいものだ

64:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 01:19:28.18 ID:4JTp7ABH0
ξ゚⊿゚)ξ「だから、あいつがあの黒いのに乗るんだな、って」
ツンがそう言って、顎をしゃくってみせた
その先に、黙々とパイロットスーツに着替える青い髪の少年が佇んでいた
少年はこちらに気付くと、ヱイルとよく似た怜悧な目を少し細め、ふっと微笑んだ
( ^ω^)「ヱイルさんの弟かな?」
ξ゚⊿゚)ξ「さぁね。というか、陰気な奴ばっかね、ここは」
どうもツンは、ヱイルのことが気に入らないらしい
特に同意を求めて言ったわけではないのか、溜め息をつきながらまた椅子に深く座りなおし、ジュースと呟いた
はぁ、と溜め息をつきながら、自販機へと向う
確か炭酸は飲めないんだっけ、などと考えながらボタンの前で指を泳がせていると、少年が後ろにいた
( ^ω^)「あ、ちょっと待っててくださいお。すぐに選びますから」
エア「いえ、気にしないで下さい」
人の良さそうな微笑みをたたえたその少年に、ブーンも微笑みを返す
エア「そういえば、会うのは初めてですよね? 僕はエアです。よろしく」
( ^ω^)「あ、はい。よろしくお願いしますお」
差し出された手を、ボタンに向けていた手の反対側で受け取って握手をする
後ろでガコン、という音がした

65:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 01:21:12.95 ID:4JTp7ABH0
( ^ω^)「あ、炭酸……」
エア「あなた達は、ブーンさんとツンさんですね? 父から聞いています」
( ^ω^)「あ、う、うん。そうだお。……父って?」
エア「首長のことです。ヱイル……姉さんと僕は、姉弟なんです」
首長ネルガルとは、正式にMSを受領し共闘することを決めた際に一度だけ会っていた
この人が戦争を嫌がっている人たちを纏めているのかと思うと、なんとなく納得してしまった
あの人物の物腰の柔らかいところが、この少年にも透けて見えた
( ^ω^)「君も、戦争が嫌で戦うの?」
エア「それもあります。でも、僕は……」
話すことを憚ってか、エアが言葉を濁す
何故か、罪人の様な諦めの漂った笑みを浮かべるエアに、引っ掛かりを感じた
ξ゚⊿゚)ξ「なに無駄話してんのよアンタ達は。さっさとMSのところ行くわよ」
声に振り返ると、戦闘前ということでぴりぴりとしているのか、ツンがヘルメットを片手につかつかと歩いてきた
せっかく話をしていたのにとツンに非難の視線を送ると、アンタこれ炭酸じゃない、と言ってヘルメットで殴られた
その様子を見ていたエアは、クスリと笑ってハンガーへ行ってしまった
( ^ω^)「ツンはわがままだお! 文句があるなら自分で取りにいけばいいお!」
ξ゚⊿゚)ξ「うるさいわね! なんでいつまでたってもアンタは炭酸の飲み物ばっかり持ってくるのよ! 嫌がらせ!?」
( ^ω^)「炭酸は美味しいお!」
ξ゚⊿゚)ξ「アンタの意見は聞いてない!」
ヱイル<さっさと搭乗機へ行け!>

67:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 01:24:13.45 ID:4JTp7ABH0
先程の怒鳴り声が、頭の中でくわんくわんと反響している
ツンと二人で歩きながら、そびえるようにして佇んでいるMSを見上げる
一番奥に搭載されていた黒いMSに、エアがリフトで登っているのが見えた
ξ゚⊿゚)ξ「まだ耳痛いんだけど……」
( ^ω^)「下手したら、この耳痛のせいで墜ちるかも……」
ξ゚⊿゚)ξ「あー、あるあ……いや、それはないわね」
話していると、自分が乗る赤色の機体の前について、歩を止めた
倣って歩を止めたツンに振り返る
( ^ω^)「じゃあ、頑張ろう」
そう言って、拳を前に突き出した
ツンは一瞬きょとんとすると、破顔した
ξ゚⊿゚)ξ「誰に向かって言ってるのよ」
突き出した拳を、ツンはぴしゃりと叩いた
ξ゚⊿゚)ξ「本気を出したら、私はアンタなんかより強いんだからね」
そう言って片手で長い髪を後ろへ払い、唇を薄く伸ばして笑う
アンタは自分の心配だけしてればいいのよと付け足して、ツンはさっさと自分のMSへと行ってしまった
一人取り残され、苦笑する
そう、これは自分のための戦いなんだった
この先がどうなるかはわからないけれど、信じて頑張ろう
そう再び心に決めて、拳を握り締め、顔を上げた

68:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 01:28:48.53 ID:4JTp7ABH0
OSを立ち上げると、通信回線が開いた
そのモニターの中に、インカムをつけたヱイルの不機嫌そうな顔が映っていた
ヱイル<この戦闘、私がCICを務めることとなった。頼むぞ>
( ^ω^)「あ、うん……。って、何でヱイルさんが?」
ヱイル<こちらが介入してすぐに、停戦と終戦の要求文を読み上げる。それには私が適役だからと、無理矢理に父が>
( ^ω^)「へぇー……。ってか、なんで首長さんがやんないの? いくら娘だからって、ヱイルさんにやらせなくてもね」
普通に考えて、そういうことは代表者がやるべきだろう
それなりの権力者ならまだしも、娘にやらせるとはどういう了見なのだろうか
ヱイル<そこなのだ。いまいち意味がわからん。もっとも、なにを考えているのかもよくわからない人間なのだがな……>
話しながらも、インカムの感触になれないのか、しきりにそれを弄っているヱイルに苦笑する

69:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 01:30:30.80 ID:4JTp7ABH0
その間に、機体のスペックデータを引っ張り出す
W-102"ストレイヤー"
"アブソリュート"の機体の特徴を継いだ、近接距離特化型MS
背中のバーニアスラスターは威力を増し、更にはビームブレードが走り、それ自体も武器になるようになっていた
そして、背負うように装備した諸刃のビームランス"グンニグル"
それの光刃を出力させ、バーニアスラスターを展開すると、十字架を背負っているような形になる
高機動を生かして、自律の矢の様に敵陣を荒らすことも出来そうだが、今度からの戦闘ではあまり使う機会もなさそうだ
戦闘に勝利することが目的ではない以上、敵を殺すことは避けたい
故に小回りの利きそうにないこの攻撃の使用は、極力控えるべきだろう
遠距離武器はないのだろうかとスペックデータを見回すと、"アブソリュート"と同様に左腕にシールドが取り付けられ、腰部に申し訳程度に二門のレールガンが搭載されていた
完全に特化機体なのだなと、嬉しいような悲しいような気持ちになる
たしかに近接戦は得意で、射撃戦は苦手ではあるが……

70:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 01:31:38.60 ID:4JTp7ABH0
ヱイル<どうだ? 我が国のMSは>
インカムを弄るのには飽きたのか、ヱイルはつまらなさそうに頬杖をついていた
( ^ω^)「うん、強いね、これ。他の機体はどうか知らないけど、これだけスペック差があればきっと……」
ヱイル<他の2機のMSには、"ストレイヤー"にはない新開発の武装が搭載されている。それに乗っているそなたがそう言うのなら、信憑性があるな>
( ^ω^)「ちょ、なんでこれにはその新兵器ないのさ」
思わず口をついて不満が出ていく
全ての機体に取り付ければよかったものを
ヱイル<格闘特化の機体ゆえ……>
ああ、射撃兵器なのか
それなら、"アブソリュート"の後継機には搭載されないはずだ
はぁ、と溜め息をつきながら、OSの調整を始める
ヱイル<なんだ、その兵装がどういったものか興味がないのか?>
( ^ω^)「だって、どうせ僕には扱えないお……」
ヱイル<腐るな腐るな。……まぁ、確かにそなたには扱えないかもしねぬな。射撃が苦手だと、そなたの連れに聞いておる>
侮るようにニヤニヤとするヱイルから目を逸らし、黙々と調整を続ける
拗ねるでないと笑われ、憮然として顔を上げた

72:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 01:34:14.36 ID:4JTp7ABH0
ヱイル<……緊張しているのではないのかと思っていたのだがな……。心配は、要らぬようだな>
( ^ω^)「うん、大丈夫。……もう、迷ってないからね。後は、自分が出来ることを精一杯やるだけだお」
ヱイル<うむ……そうだな。私もそなたに遅れをとるわけにはいかぬな。……そろそろだ、頼むぞ>
力強く頷き、通信を切る
リニアカタパルトの向こうに、星々の瞬く漆黒の世界が広がっていた
一度は落ちて、憎しみと悲しみの渦中に墜ちていったけれど、翼を生やし戻ってきた
今度は、僕が皆を引き上げてあげるんだ
その世界で、僕が生きていたいから
( ^ω^)「ブーン、"ストレイヤー"、行きます!」
皮肉にも答えを伝えてくれた断罪の剣を持って、紅い閃光は飛び出していった

74:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 01:37:03.72 ID:4JTp7ABH0
レーダーに目を走らせ、"ヘイト"を探す
すると、それはこの広大な漆黒の中で何処にそれがいるかを、即時に教えてくれた
"アブソリュート"のレーダーとは、比べ物にならない索敵精度だ
翼を広げ、光を走らせる
伝えるための十字架を背負い、敵陣へ突入していく
戦況は、地球軍が押しているといったところか
見慣れない新型のMS達が、"ストラス"と"ハルパス"を囲んでいる
OSが、見慣れないMS達の名称を弾き出す
量で叩こうという作戦なのか、地球軍の新型機"ヘル"の数はかなりのものだった
( ^ω^)「くっ……どうする?」
ここで戦闘に介入したとして、彼等が戦いを止めるとは思えない
仮に"ヘル"の武装を解除すれば、"ストラス"達が勝つために"ヘル"を攻撃する
そして、その逆も然り
やはり、ヱイル達の呼びかけを待つしかない
せめてどちらも死ぬ事のないようにと祈り、機体を加速させた
途中何度か発砲されたが、機体を回転させ、ビームを弾いて抜けてゆく
"アブソリュート"より、ずっと速い……

75:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 01:39:57.01 ID:4JTp7ABH0
たいした妨害を受けることなく、、レーダーの指し示す場所へと到着することが出来た
眼下で"ヘイト"が、いつかの紫のMS2機の猛攻を受け、防戦一方になっている
きっと目を細め、フットペダルを踏み込んだ
"ヘイト"に攻撃を加えようとしていた"スルーター"の腕を、すれ違いざまに翼で切り裂き吹き飛ばす
そのまま"ディザスター"へ向い、レールガンを突き出してミサイルポッドに撃ち込んだ
咄嗟に"ディザスター"はミサイルポッドをパージし、離脱していった
2機が体制を立て直すために離れていったのを確認して、呆然としていた"ヘイト"へ向う
"ヘイト"がビームサーベルを構えたのを見て、通信回線を開く
( ^ω^)「ドク、大丈夫?」
('A`)<なっ!? お前……なんで……!?>
モニターの中で、ドクの顔が驚きで歪んだ
久しぶりに見た友の顔に、なんともいえない安堵と幸福を感じた
でも、それが続くかは彼次第だ
( ^ω^)「ドク、これ」
彼が持っていた、彼の力を差し出す
これを再び渡すのは、彼自身にこれを向ける先を決めて欲しいから
ここで力任せに説き伏せたとしても、意味がない
答えは自分が必要とした時に、自分で出せてこそきっと価値があるから

76:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/23(木) 01:41:16.04 ID:4JTp7ABH0
('A`)<……お前、どういうつもりなんだ!? 急に現われて、俺を助けて!>
ドクが意味がわからないと言いたげに、眉を寄せた
答えることをせず、"グラム"を"ヘイト"に向けて泳がせる
( ^ω^)「僕は、僕のしたいことをするから」
そう言って、通信を落とす
幸せな世界で生きていきたい
それは思想を統一した、ただ心地よい世界ではない
皆が考え、その先にある世界へ、皆で進んでゆく
焦ってはいけない
今はまだ、こちらの考えと、行きたいところを伝えるだけでいい
理由はどうあれ、行きたい世界が同じなら、きっとと進む道も同じになるから
ヱイル<こちらはエリュシオンだ! 今そなた等が行っている戦争は、何も生み出しはしない! 無意味な争いなど止めて、手を取りあう道を選べ! 互いに望んでいるものは、同じのはずだ!>
果たして、気持ちは通ずるのだろうか
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【2006/03/23 09:25 】 | ( ^ω^)ブーンはガンダムのパイロットのようです | comment(0) | trackback(0)

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