忍者ブログ
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【2017/06/26 16:08 】 |

( ^ω^)ブーンはガンダムのパイロットのようです part11
22:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/25(土) 23:40:11.11 ID:/vTeIVFG0
主砲が臨界をむかえ、光の奔流が放たれる
前方に展開していた宇宙連合のMSが爆散し、その空間には漆黒のみが残った
退避していた"ヘル"達が戻ってきて、羽虫のように残った敵にたかる
CIC「やっぱり、凄いですね……ホントに」
計器を弄りながら、呟くようにCICが言う
その声色は賞賛というより、嫌悪だった
後ろで銃火器を操作しているクルーの表情からは血の気が引き、自分の一操作が引き起こしてしまった惨状に驚愕していた
虐殺だ
これを指示した人間は、この先に何を思い描いているのだろうか
それを知る術は、僕には無い

23:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/25(土) 23:40:41.89 ID:/vTeIVFG0
(´・ω・`) 「艦を退こう。違和のない程度に、戦闘区域の限界までもっていって」
どうせ、こちらの勝利は確定的だ
こちらが手を出さなくとも、力に酔った人間達が狩りを行ってくれる
操舵士「いいんですか?」
形式的な問いが、操舵士から飛んでくる
その声には、微かな安堵が浮かんでいた
問いに無言で頷き、敵からの攻撃を防御することだけに集中しろとクルーに指示を出す
『私、嫌よ……? あなたが死ぬなんて……!』
この惨状を見ても、まだそんなことが言えるのだろうか
いや、きっとヴィネは言うだろう
僕を生き残らせるためにこの艦を強化したのは彼女だ
僕を生き残らせるために、対価に躊躇いなく敵の命を払った
きっと僕が彼女を変えるには、方法は一つだ
けれど……

24:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/25(土) 23:41:41.37 ID:/vTeIVFG0
<こちらはエリュシオンだ!>
その時、突然全周波の通信が入った
(´・ω・`) 「メインモニターに上げて!」
CICに向けてそう言い、前面のモニターに目を向ける
気難しそうな少女の顔が映る
<今そなた等が行っている戦争は、何も生み出しはしない! 無意味な争いなど止めて、手を取りあ道を選べ! 互いに望んでいるものは、同じのはずだ!>
(´・ω・`) 「…………」
エリュシオン、確か中立の国
首長はネルガルと言う男だったはずだが……
CIC「結構、思い切ったことする人達もいますねー」
CICがこちらを振り向き、口元に笑みを乗せて言った
ことの善悪以前に、こうして自分の意思で無茶をする彼等に、爽快感を感じているのだろう
ヱイル<大切な命を悪戯に奪って、何が変わる!? 何も変わりはしない! そなたらは敵の全てを殺すつもりか!? 守る為と!>
言葉に眉を寄せる
それはわかっている、そんなことはしたくない
だが、目を逸らしている
気持ちの悪いことだと、せめて自分がまともだという言い訳をしながら
ヱイル<守る為と敵を殺し続けたとして、本当に幸せになれるか!? 常に誰かが悲しみ、誰かを憎んで! そんな世界にしたいのか! よく考えてくれ、本当は何をすべきなのかを!>
通信の切れる独特の音を残して、画面が暗くなった
一瞬、ブリッジが静まり返る

25:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/25(土) 23:43:02.85 ID:/vTeIVFG0
CIC「よく考えてくれって、艦長」
(´・ω・`) 「そうだね……」
気の無い返事を返すと、CICが不満そうな顔で計器に目を返した
だが、僕達は所詮駒でしかないのだ
上の考えている通りに動き、戦って、死んでゆく
艦隊長<全艦に告ぐ。先程の通信には耳を貸すな。奴等は所詮、戦場荒らしのテロリストでしかない。1番隊と5番隊は殲滅に向え>
CIC「まぁ、そうよねぇ……」
溜め息をつきながら、CICがうんざりした面持ちで呟く
これが当然の反応だろう
勝つ為と、敵を全て殺すための戦いなのだから
そこに疑問をはさむこと自体が、全くもっておかしいことなのだ
彼等にとって
(´・ω・`) 「僕達も行くよ。パイロット達にはそのまま攻撃を続けて、って」
CIC「りょーかい」
あの時ネルガルに抱いた違和感は、これだったのだろうか
戦争を止めたいと、それを画策していたこと
しかしそれを知った今も、胸のしこりは残ったままだった
彼と話がしたい

26:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/25(土) 23:44:45.27 ID:/vTeIVFG0
自軍の最後尾、敵の攻撃もここまで伸びることは無い
時々の流れ弾を"ヘル"がシールドで弾くのを淡々と見つめていた
ヱイル<大切な命を悪戯に奪って、何が変わる!? 何も変わりはしない! そなたらは敵の全てを殺すつもりか!? 守る為と!>
突然入ってきた通信に目をやる
モニターで、小娘が言葉を紡いでいる
ヱイル<守る為と敵を殺し続けたとして、本当に幸せになれるか!? 常に誰かが悲しみ、誰かを憎んで! そんな世界にしたいのか! よく考えてくれ、本当は何をすべきなのかを!>
オットフリート「……全艦に通信を入れろ。惑わされるな、とな」
はっ、としゃちほこばる艦隊長に目を向けることもせず、頬杖をつき、狂乱の宴を見つめながら言う
もう少し、もう少しで世界は救われるのだ
争いの無い、悠久の平和な世界が出来る
ふぅ、と溜め息を吐く
それなのに、奴らは今しか見ていない
命を大事にと大義を掲げ、戦いを止めてしまっために、また次の戦いがおこる
火は消さねば、大きく激しくなる
そんなこともわからないのだろうか

27:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/25(土) 23:46:56.64 ID:/vTeIVFG0
ヴィネ「父上……」
隣で、ヴィネがすがるような声をあげた
この子供は、価値観が傷つけられてしまうことを極端に恐れている
あの少女だったころから、何一つ変わってはいない
突き放してきたからこそ、自分の中に出来た価値観を妄信的に信じ従う
オットフリート「戦いが終れば平和となろう。余計なことは考えるな」
ヴィネ「……はい」
父に添い生きることにこそ、存在価値があると
そうしてさえいれば、捨てられない
それが、この少女の価値観、そして存在意義だ
オットフリート「あの通信をしてきた人間達を殲滅させろ。……一番隊と五番隊に指示を出せ」
ショボン、とかいう青年
あれのせいで、ヴィネが余計な影響を受けているのことも確かだ
故に、それが通信してきたものたちを滅ぼせば、ヴィネの中でそれは確実となる
仮にショボンが死んでも、または敵を撃破しても、こちらとしては有利になる
鬱陶しくて仕方がなかったが、役に立つこともあるものだ
オットフリート「"ヘル"隊をコロニーへ急がせろ。雑魚に構う必要など無い」
これ以上、誰にも邪魔をされるわけには行かない
平和な世界の創造を阻む者には、消えてもらおう

28:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/25(土) 23:49:41.62 ID:/vTeIVFG0
攻撃の拠点、そして敵の攻略目標となっている第5コロニーに足を運び、戦況を見守っていた
しかし、状況報告を務めるCICの声は悲鳴にも似、自軍の敗走を伝えていた
クルー「代表、早急に戦域から脱出を」
ブエル「そうはいかん。私とて、君達と同じ宇宙民だ。……それに、ここを陥とされては皆同じ末路だ」
クルー「……そうですね」
最終防衛線が崩されるのも、時間の問題だろう
何故、こんなことになったのだ……
先へ進もうと、人類を豊かに、平和にしようと思いしてきたのにもかかわらず、この仕打ちだ
ブエル「"ゴスペル"の発射はまだ出来ないのか?」
クルー「臨界までは後、わずかです」
ブエル「そうか……。それまで持ちこたえてくれと、祈るしかないな……」
小型のコロニーを人工岩でカモフラージュし、巨大なジェネレータを設置して一撃必殺の強大なレーザーを放つ
物量で敵わないというのなら、物量の差を覆すほどの威力を生み出せばいい
この力が、我々に福音をもたらさんことを
ブエル「終わりだ、オットフリート……!」

29:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/25(土) 23:51:14.75 ID:/vTeIVFG0
ξ゚⊿゚)ξ「ち、ちょっと! 何処行くのよブーン!」
飛び出すと同時に、いきなり飛んでいってしまった"ストレイヤー"の後姿を目で追いながら突っ込みを入れる
最優先の指示は、こちらの艦の守護だ
それなのに、一体何処へ行こうというのだ
ξ゚⊿゚)ξ「あのバカ!」
一人ごちながら、スラスターを吹かして後を追う
エア<貴女まで行ってしまってどうするんですか……>
ξ゚⊿゚)ξ「うるさいわね! 男なら一人で頑張りなさい!」
小さな溜め息を聞き流して、通信機を切る
レーダー上のターゲットマークを目で追いながら、後を追う
ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと……どんだけスピード出してるのよ、まったく……」
どんどんと機体が離れていく
ツンが受領したのは白いMS、W-101"リアライズ"
背中にMS程の巨大な砲身を抱え、それは中心辺りで折れるようにして展開し、肩口と腰で構えを取る
砲口からは、120ミリの高エネルギービームが放たれる
他には、シールドと60ミリビームライフルを標準装備している
そして、もう一つ

30:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/25(土) 23:53:58.01 ID:/vTeIVFG0
ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと……なによこの群れ……」
目の前に広がる光景に、目を疑う
"ヘル"が、"ストラス"の4倍程も多くいる
これは核兵器の使用を制限している第5コロニーの破壊作戦だと聞いていたが、これではこのまま全てのコロニーを殲滅することすらできるのではないだろうか
戦艦の数が少ないのは、やはりMSの威力と機動力についてゆけないからだろう
こちらに気付いた"ヘル"が撃ってきた一射を、シールドで弾いて撃ち返す
狙い過たずビームライフルを撃ち抜き、それは爆散した
ブーンから、敵を殺すなと言われている
僕達はこれ以上罪を重ねちゃいけない、それにもう悲しい思いはさせたくないから、と
とは言ったものの、この調子ではこっちがやられてしまうではないか
確かにブーンの言うこともわかる
誰かがブーンを殺すことと、私が誰かを殺すことを同じと考えれば
でも、少し無理がある

32:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/25(土) 23:56:01.02 ID:/vTeIVFG0
ξ゚⊿゚)ξ「あんまり練習してないから、じっとしてないと死ぬわよ!」
怒鳴りながら、最後の兵装を背中のハッチから吐き出す
小さく尖ったような形状のそれらは、それ自体に装備されたスラスターを噴射して散っていった
ξ゚⊿゚)ξ「行けっ! ファンネル!」
あらゆる方向から光条が放たれ、敵陣を荒らしていく
"リアライズ"も砲を展開して、機体の末端を狙って一斉に光条を放つ
右手でトリガーを引きながら、左手で10機のファンネルの調整をする
自律機動全包囲攻撃兵器群"ファンネル"
量子通信によってこの操作を可能にしているらしいが、流石に通信妨害や搾取を行っていただけの技術力だ
全方位からビームを撃ちかけられ、"ヘル"達は必死で機体を振り回すも、"ファンネル"死角からの射撃や、"リアライズ"本体の砲撃に晒されて沈黙してゆく
おそらくアラートも、危険信号とやかましい音を鳴らし続けるだけで、まともに機能していないだろう
自分がこの兵装を使用する立場だからいいものの、出来ればこの武器をもったMSとは戦いたくないなと思う

35:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/26(日) 00:00:24.72 ID:qxIeCmaV0
しばらく撃ち続けていると、武装が残っているMSはほとんどいなくなっていた
ステータスモニターの撃墜数は、0のままだ
なんとか上手くいったようだ
爆風がなくなり、モニター越しに様子を見ると、道が拓けていた
ξ゚⊿゚)ξ「ブーン! 見てた今の!? 凄いわこれ! これなら……」
何も映していないモニターを見て、言葉を止める
一体何をやっているんだ自分は
自嘲気味に笑みをもらす
レバーを握る手に力を入れ、気合を入れる
ξ゚⊿゚)ξ「ほら、どきなさい! アンタ達に構ってる時間なんかないのよ!」
今度こそ、落ちていく前に助けなくちゃ
もう泣くのはごめんだから
フットペダルを目一杯に踏み込んで、機体を走らせた

38:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/26(日) 00:01:39.87 ID:qxIeCmaV0
機体をコロニーに向けて走らせていたら、いきなりこちらに向けてビームを放ってきた機体がいた
ツァールと共に攻撃を加え、あと少しと思ったところで突然"ヘイト"の向こう側からMSが現われた
それは"スルーター"に攻撃を加え、こちらのミサイルポッドを破壊していった
"ヘイト"に長剣を手渡したところを見るとどうやら敵、向こうの味方らしい
ゼノン「おい! 大丈夫かツァール!?」
一時的に離脱してからというもの、ツァールは黙り込んだままだった
左腕をもががれてしまい、武装の少ない"スルーター"の攻撃力はかなり落ちてしまった
ゼノン「ツァール! おい、聞いてんのか!?」
辺りを警戒しながら機体を寄せる
その時、突然通信が入った
ヱイル<こちらはエリュシオンだ! 今そなた等が行っている戦争という行為は、何も生み出しはしない! 無意味な争いなど止めて、手を取りあう道を選べ! 互いに望んでいるものは、同じのはずだ!>
ゼノン「あぁん?」
突然何事かと思えば、何処のどいつだ
戦闘の邪魔になると、通信回線を落とす
無意味な争いをやめろ?
互いに望んでいるもの、とは一体なんのことを言っているのだ?

39:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/26(日) 00:02:12.92 ID:qxIeCmaV0
ツァール<ふざけるな……>
ツァールが口を開いて、モニターに目を向けると、目に涙をためていた
"スルーター"がツァールの意を受け、敵に再び突進してゆく
ゼノン「おい! ったくよぉ!」
後を追って機体を走らせる
ツァール<お父さんがくれたのに……お父さん……お父さん……!>
新参の赤い機体に、"スルーター"が斬りかかる
赤い機体は"スルーター"の攻撃を簡単にいなすと、胸部を蹴った
吹き飛んできた"スルーター"を、がっきと受け止める
ゼノン「落ち着け! なんだかわかんねぇが、あいつは強ぇぞ!」
ツァール<お父……さん……!>
こちらを振り払うようにして、再び向っていってしまう
もし赤い機体が先程の呼びかけを行ってきた連中の一味ならば、一度は警告としての攻撃で済ませるかもしれない
しかし、二回目の保障はない
ゼノン「ちっ、墜ちろぉぉぉ!」
援護にと、バズーカとビーム砲を連射する
赤い機体はこちらの攻撃を見やると、背中に手をやり、巨大な諸刃のランスを手に取って手前で回して攻撃を防御した
爆風を振り払い、その武器を持ったまま"スルーター"へ突進していく

40:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/26(日) 00:02:42.17 ID:qxIeCmaV0
ゼノン「ツァールッ!」
その時、背後から"ヘイト"が長剣で斬りかかり、腰部のレールガンを切り裂いていった
"スルーター"がその隙を逃さずビームを放つも、赤い機体は凄まじい加速を見せ、離脱していった
その後を"ヘイト"が追いすがる
"ヘイト"と赤い機体は、仲間ではなかったのか?
赤い機体は"ヘイト"への攻撃をためらっているのか、手を出そうとしない
ゼノン「敵の敵は味方、ってか?」
"ディザスター"を駆って、赤い機体へ向う
あの機体と3機がかりなら、墜とせるかもしれない
ゼノン「ツァール、行くぜ!」
ツァール<わかってる……!>
ツァールに声をかけた瞬間、アラートが鳴り響いた
咄嗟に機体を後退させると、光条がもといた空間を薙いでいった
発射された場所を覗くも、それらしい機体はいない
辺りを見回すと、真白なMSがこちらへ向ってきていた

42:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/26(日) 00:03:29.08 ID:qxIeCmaV0
こちらを完全に敵とみなしていなかったのか、全く警戒していない
その隙を逃さず"グラム"を振るったものの、レールガンを斬っただけだった
('A`)「お前は一体どういうつもりだ! 何がしたいんだ!」
離脱していった赤い機体を追って、"ヘイト"を駆る
"グラム"を一閃させるも、再び回避される
この機体では、性能が追いつかない
( ^ω^)<さっき言った通りだお! 僕は僕のしたいことをする!>
('A`)「お前……。まさか、記憶が戻ったのか!?」
ここへこうして戻ってきて、俺を……敵だったはずの俺を助け、攻撃を躊躇っている
モニターの向こうで、ブーンが首を縦に振る
ならばなおのこと、理解が及ばない
何故戻ってこない
('A`)「俺の邪魔をすることが、お前のしたいことか!」
強がりだということはわかっている
あの時ブーンがこなければ、俺はこの冷たい空間で一人死んでいた
アイベルを残して

43:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/26(日) 00:03:50.44 ID:qxIeCmaV0
('A`)「エリュシオンだかなんだか知らないが、お前はあの国の所属なのか!」
( ^ω^)<そういうわけじゃないお! ただ、目的が同じだからだお!>
('A`)「また裏切るのか、お前は!」
苛立ち紛れに"グラム"を振り回す
それをひらひらと避けながら、ブーンは話し続ける
頭に血が上る
宇宙連合を裏切って、俺たちを裏切って、地球連合を裏切って、今度は戦争を止めろ!?
ふざけるのも大概にしろ
ブーンが一瞬、こちらから注意を逸らした
紫の機体が、こちらに向ってきている
構えた"グラム"を振り下ろそうとした瞬間、何もない空間から光条が降り注ぎ、機体を掠める
事態が把握できず、辺りを見回す
すると、彼方から飛来した真白のMSが、寄り添うように赤い機体の傍に降り立った

44:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/26(日) 00:04:26.08 ID:qxIeCmaV0
ξ゚⊿゚)ξ<馬鹿! いきなり指示すっぽかしてなにやってるのよ!>
ツンから通信が入り、"リアライズ"が彼方に見えた
ハッチから小型の何かを飛ばして、3機を牽制しながら近づいてくる
( ^ω^)「ごめんお……。でも……」
ξ゚⊿゚)ξ<わかってる。紫のは私が何とかするから、ドクとちゃんと決着つけてきなさい!>
そう言って、ツンは機体を翻らせ、"ディザスター"と"スルーター"へと向っていった
あのふよふよと飛び回っている小型のものが、新兵器らしい
どうやって動かしているのかは見当がつかないが、完全に死角からの攻撃も可能らしく、負けることはないだろう
( ^ω^)「ツン! 殺しちゃダメだお!?」
ξ゚⊿゚)ξ<わ、わかってるわよ? いいからさっさと行きなさい!>
通信がぶつりと切られ、こちらも機体を"ヘイト"へ向ける
"ヘイト"は"グラム"を構え、再び向ってきた
仕方なく"グンニグル"で、"グラム"を受ける
干渉されたビームが音を立てて爆ぜ、火花を散らす

45:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/26(日) 00:05:08.32 ID:qxIeCmaV0
('A`)<今なら間に合う! その機体を持って、宇宙連合へ戻ってこい!>
( ^ω^)「戻ってどうするんだお!? 地球連合を倒すために戦うのかお!? ドクは敵だったら、何も考えずに剣を向けるのかお!?」
('A`)<敵なら仕方がないだろう! お前は黙って殺されろと言うのか!>
こうなるであろうことは、予想はしていた
ドクは責任感が強くて、皆を率いていく立場だから
だから皆を守らなければと、盲目的に剣を振るい続ける
なんで戦ってるのか、それすらからも目を逸らして
片方の残ったレールガンを跳ね上げる
それを警戒して、"ヘイト"は距離をとった
('A`)<……なんで撃たないんだ!>
( ^ω^)「ドクは、僕の敵じゃないお!」
('A`)<ブーン……! こっちの邪魔をするなら、お前は敵だ!>
"ヘイト"が、再び"グラム"を一閃する
その剣先に向けてレールガンを放ち、距離をとる
( ^ω^)「ドクの敵って、一体なんなんだお!?」
"グラム"しか武装のない"ヘイト"が攻撃に巻き込まれないよう、せめて戦闘区域から外れるようにと"グングニル"を振るって誘導する
赤と青の2機の周りでは、量産機が死闘を繰り広げていた

46:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/26(日) 00:06:26.81 ID:qxIeCmaV0
('A`)<決まってるだろ! 地球連合だ! お前はそんなことも忘れたのか!?>
( ^ω^)「地球連合が撃ってきたから、撃ち返してもいいの!?」
('A`)<守るために撃ってるんだ! それの何が悪い!?>
"ヘイト"の背後からビームが一条飛来してきたのを目にとって、"ヘイト"を押しのけてシールドで弾く
その行為に余計に腹を立てたのか、後ろから"グラム"を振り回してくる
紙一重でそれを避け、返しの刃をシールドで受ける
( ^ω^)「地球連合だって同じだお! 彼等も、守りたいから戦ってた!」
ショボン艦長も、整備士の人たちも、CICさんも、操舵士さんも、マナも……記憶を無くした僕も
皆誰かを守るために、必死だった
宇宙連合の手から誰かを守ろうと
('A`)<それがどうした!>
( ^ω^)「ドクと何が違うの!?」
('A`)<……っ!>
剣先に動揺が浮かぶ
きっとドクは、いや、頭のいいドクはこの考えには既にたどり着いていたはずだ
だが、どうすることも出来ない
強すぎる憎しみのせいで、銃を撃つことをやめられない

49:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/26(日) 00:07:20.38 ID:qxIeCmaV0
( ^ω^)「皆、僕達と同じだったんだ! だから……」
('A`)<だから、あの呼びかけか!?>
"ヘイト"の頭部からバルカンが放たれ、咄嗟にシールドを掲げる
('A`)<ふざけるものいいかげんにしろ! 今更、和平なんか出来るか!>
怒鳴りながら"グラム"を振り回す"ヘイト"
何故、そんなに敵を嫌うのだ
彼等は違う存在じゃない
僕達となんら変わりはしないのに
互いに手を取り合う道だって、きっと選べるはずなのに
獣のように唸りながら振りまわされるドクの断罪の剣を受けながら、眉を寄せた

51:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/26(日) 00:10:07.11 ID:qxIeCmaV0
"ストレイヤー"に次いで"リアライズ"も混戦に突入していってしまい、戻ってこない
小さく溜め息をつきながら、通信回線を開く
エア「姉さん、上手く出来てたよ」
ヱイル<そ、そうか? ありがとう>
さすが場慣れしているといったところか、よく緊張せずに言えたなと思う
それに顔が割れてしまう、ということを懸念しなかったのだろうか
ネルガル<エア、多分すぐに来るよ。お願いね>
その言葉に無言で頷き、通信を落とす
W-201"パニッシュ"
ビームサーベルとシールド、そして50ミリ高エネルギービームスナイパーライフル
更に背負うようにして装備したバックパックに大型の"ファンネル"と、同系等の自律機動全方位反射兵器群"ラグナロク"を装備している
"ラグナロク"は、小型のミラーブロックでビーム光を集め収束し、反射するようにビームを撃ち返す防御兵装
宇宙に溶けるような漆黒の機体を、前方に展開しだした敵軍と対峙させる
MSの数は20…30程度、戦艦は5
よほど強力な艦でもいるのか、想定していたよりも敵の数は多くない
割く戦力もないのか、宇宙連合の艦隊はなかった

52:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/26(日) 00:11:13.96 ID:qxIeCmaV0
戦線から離脱をはじめた自艦の前に立ちふさがるように、"ファンネル"と"ラグナロク"を展開させる
大型の"ファンネル"は一機だが、砲門がほぼ全方位にあり、対多数で威力を発揮するようになっている
きっと目を細め、二種の兵装を敵陣に向けて飛ばした
ビームスナイパーライフルを構えながら、"パニッシュ"を走らせる
"ファンネル"から放たれたビームを"ラグナロク"で反射させてかく乱し、そのビームの回避に気を取られた機体をライフルで撃ち落す
今回の戦闘は、機体を爆散させてはいけないという制約があり、かなりやりづらい
"ラグナロク"はほぼオートではあるが、敵機へ向けて反射させる際にに微調整を行わなければならない
その間にも"ファンネル"はビームを放ち続け、"ヘル"達は光の中に包まれていく
"ラグナロク"を退かせると、戦闘能力を失った"ヘル"が漂っていた
戦艦が放ったビーム砲を、シールドで受ける

53:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/26(日) 00:11:54.58 ID:qxIeCmaV0
ヱイル<やめろ! 我等はそなたらと戦闘をしにきたわけではない!>
深追いをするつもりはないから撤退しろ、という含み意だ
ビームサーベルを抜いて迫ってきた"ヘル"の攻撃をシールドで受け、覗き穴からビームを放って"ラグナロク"で拾う
突然背後から撃たれ、ひるんだ"ヘル"を蹴飛ばす
ヱイル<こんな所で死んで、何になる! 失われては取り戻すことは出来ないのだぞ!>
戦いを止めろ! と、ヱイルが叫ぶ
はっきり言って、聞き入れてもらえるはずがない
誰かが口にして、それが簡単に通るのならば、戦争など起きはしない
この"ヘル"に乗っている人間たちも、その価値観に忠誠を誓い、こうして戦っている
そう簡単に、人は動けはしない
それでも、やはり力の差を見せられてなお向ってこれる人間はいないだろう
"ヘル"達が、躊躇いながらも退いていった
その時、艦隊の最前列にいた白亜の艦の巨大な砲が、光を収束し始めた

54:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/26(日) 00:13:05.44 ID:qxIeCmaV0
(´・ω・`)「主砲照準、敵MS及び敵戦艦」
CIC「撃つんですか……?」
(´・ω・`)「撃つよ。僕達はそのためにここへきたんだから。艦を前進させて」
主砲をチャージしながら、周囲の艦から突出していく
いや、周りの艦が退いているのだ
"ヘル"達も一目散と逃げ出し、艦隊とともに後退して行く
CIC「なによ、後は任せた、ってこと?」
CICが不満げな声をあげる
今回ばかりは、自分が嫌われ者だったことに感謝する
やりやすい
クルー「主砲、チャージ完了!」
(´・ω・`)「撃たないで、そのまま」
ちらと脇のガラスから外を覗くと、既にこちらの隊の友軍はおらず、取り残されてしまっていた
完全に誤算だったのだろう、いままで苦渋を舐めさせられていた宇宙連合のMS達と互角以上に渡り合える"ヘル"隊が、たった一機のMSに敗退するなどと
もっともMAとMSの戦力比からも分かるよう、弱いものが複数集まっても、強力な一つには勝つことは難しい

56:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/26(日) 00:15:28.28 ID:qxIeCmaV0
(´・ω・`)「さっきの艦に通信を入れて」
CICが頷き、通信機の設定をはじめた
後は運任せだな、僕のしたいことが上手くいくかどうかは
(´・ω・`)「こちら地球連合一番隊所属艦"イシューリエル"。そちらの真意を、今一度伺いたい」
目の前に敵艦として佇む艦以外との通信を遮断し、声をかける
すると、先程呼びかけを行っていた少女が顔を出した
ヱイル<我々の意思は、この世界を平和な世界に戻すことだ! 地球の人間も宇宙の人間も、同じ目的はずだ! それなのに何処に戦わなければならない理由がある!>
(´・ω・`)「同じ目的、とは何のことを言っている?」
ヱイル「そなたらも、互いに平和の為に戦っているのだろう? ならば手を取り合い、戦い自体をやめればよいではないか!」
互いの平和、か
一歩退いたところで、冷静な目線で見ているからこその結論なのだろう
眉間に皺を寄せ、少女がこちらを睨んでいる
(´・ω・`)「そんな呼びかけをこんなところでして、本当に戦いが終ると思っているのか?」
ヱイル<ならば黙っていれば、こちらの願ったとおりにそなたらは戦いを止めるのか!? 言わねば伝わらぬ! そもそも何故……>
ネルガル<ヱイル、興奮しすぎだよ>
奥の方から男の声が聞こえ、それに反応して少女が、だが! と怒鳴った
飽きれたような溜め息が聞こえ、通信回線が切り替わり、いつか見た顔がモニターに現われた

57:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/26(日) 00:17:56.53 ID:qxIeCmaV0
ネルガル<お久しぶりですね、ショボンさん>
(´・ω・`)「……まさか中立で戦争技術のない国が、MSを引き連れて戦争を止めにくるとは思いもしませんでしたよ」
ネルガル<そうですね。ですが、やはりそれもヱイルの言うとおりです。黙っていては、何も思い通りにはなりませんから>
相変わらずの声音で、ネルガルは言葉を口にした
人の良さそうな微笑みを浮かべていることが、この場では違和感になる
(´・ω・`)「伊達や酔狂でこんなことをしているのなら、すぐに止めて引き返すべきです。今ならそれほど責を問われることもないでしょう」
なんだと! と少女の怒鳴り声が再び聞こえてきたが、近くにいたクルーが抑えたのか、すぐに静かになった
最新鋭艦である"イシューリエル"のことも、その威力も、この作戦決行日時すら知っていた彼等には筒抜けだろう
その艦に砲を向けられ、脅し文句をつけられて、それでも彼等は退かないだろうか
ネルガル<ご心配ありがとうございます。ですが、そういうわけにもいきません。意に沿わない世界なら、何かしたほうがましだと思いませんか?>
(´・ω・`)「ずいぶんと、自分勝手な意見ですね」
ネルガル<我々が間違っているのなら、誰かによって正されるでしょう>
やはり、彼には何かがある

58:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/26(日) 00:19:20.76 ID:qxIeCmaV0
実際のところ、正論を述べているのは彼等の方だろう
殴り殴られ、手を止めれば喧嘩は終る
だが、実際には痛みが怒りを呼び、手は止まらない
平和な時の正論は、簡単に変わってゆく
そして憎悪のフィルターがかかり、目をやらなくなる
いや、見えなくなる
(´・ω・`)「こちらが地球軍所属である以上、そちらを攻撃しなければいけません」
ネルガル<ええ、そうですよね>
(´・ω・`)「では、撃ちますよ」
そう告げて通信回線を落とす
ふぅ、と脱力し、艦長席に体を預ける
クルー「撃ちますか?」
(´・ω・`)「撃たないで」
後は、彼らを信じるしかない
漆黒の機体が、こちらを目掛けてバーニアを噴かし、凄まじいスピードで突進してきた
PR
【2006/03/26 10:45 】 | ( ^ω^)ブーンはガンダムのパイロットのようです | comment(0) | trackback(0)

<<( ^ω^)ブーンはガンダムのパイロットのようです part10 | HOME |番外編 ID:777PxiYb0さん>>

COMMENT:
COMMENT EDIT :















TRACKBACK:
トラックバックURL


<<( ^ω^)ブーンはガンダムのパイロットのようです part10 | HOME |番外編 ID:777PxiYb0さん>>

忍者ブログ [PR]