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【2017/08/24 06:26 】 |

( ^ω^)ブーンはガンダムのパイロットのようです part4
688:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 00:22:26.22 ID:DDGlJWRg0
('A`)「あ、アイベルさんが!?」
クルー「ええ、そう通信が……」
補修を受けるため、機体と共に補給艦へと移っていた
そして、作業員とブリッジのクルーのしていた話を、たまたまに耳にはさんだ
('A`)「……それは、本当か?」
クルー「え、あ、はい。残念ですが……」
作業員「やったのは"アブソリュート"らしい。ったく! ふざけた連中だぜ、地球連合のやつらは!」
作業員が、やり場の無い怒りを、壁にぶつける
金属の甲高い音が、頭に響いた
アイベルさんが、殺された……
軍学校時代、ドクは彼女に憧れていた
夕焼けのような明るい赤の髪、スッとした出で立ち、冷静な判断力
ドクにとって、彼女は姉のような存在だった
いつも大人びた振る舞いをしていたドクにとって、唯一心許せる存在
それを、殺された


689:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 00:23:19.10 ID:DDGlJWRg0
('A`)「…………」
クルー「ど、ドクさん……?」
手許で何かがグシャ、と音を立てた
すぐそこの自販機で買ったドリンクの缶だ
手が切れ、血が滲んでいる
('A`)「"ヘイト"に装備されるはずだった武器があったはずだ。それを、至急頼む」
声を作り、作業員にそう告げて、ハンガーを後にする
アイベルを、大切なアイベルを殺した敵
敵となった大切なブーン
何を憎めばいいのだ?
何を殺せば気が済むのだ?
何故、こんなことに……
悲しくて、憎い
負の感情が溢れてしまいそうな心をなんとか律して、ドクは次の戦場を待つことにした


690:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 00:24:56.60 ID:DDGlJWRg0
( ^ω^)「失礼しますおー……」
いつか見た風景が広がっている部屋に入る
医務室だ
アポイントを取っていたので、今は誰もいない
ベッドに寝かされている彼女以外は
( ^ω^)「大丈夫、ですか……?」
彼女をこんな風にしたのは自分だと言うのに、いまさらになにを、と思う
左腕と右足は、骨が折れているのか固定され、頭には包帯が巻かれている
どこかが千切れたり、失われていなかったことに、とりあえず安堵する
( ^ω^)「えと……寝てます?」
胸が規則正しく上下している
仰向けの体勢にもかかわらず、それはなかなかの大きさで―――
じゃない、彼女は寝ているようだった
仕方なくベッドサイドの椅子に腰をおろす
時折苦しそうに息を荒げ、汗をかいていた
用意してあったタオルで、ふき取ってやる


691:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 00:27:19.29 ID:DDGlJWRg0
( ^ω^)「…………」
この女性が敵、か……
他のMSにも、この人のように魅力ある―――外見だけでなく―――人物が乗っていたのだろうか
この人を失って、この人の仲間はどう思ったのだろうか
僕を、恨んでいるのだろうか、殺したいと思っているだろうか
( ^ω^)「……でも、仕方が無いお。殺さなきゃ殺されるんだ」
自分にそう言い聞かせる
そう、仕方がないんだ
敵を倒すことに疑問をもってしまったら、それは兵士ではない
自分は兵士なのだ
その時、赤髪の女性が身じろぎした


692:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 00:28:44.36 ID:DDGlJWRg0
アイベル「うっ……っ……」
( ^ω^)「あ、起きましたかお?」
はぁはぁと痛みに、せわしなく息をする
なんだか扇情的だ
アイベル「……どういう、つもりかしら……? 私はてっきり、拷問でも……されるものだと、思っていたわ……」
目を瞑ったまま、女性が言った
拷問……かぁ……
あらぬ妄想に、男が反応する
バカか僕はと自分をたしなめ、女性を見据える
( ^ω^)「あの、聞きたいことがあるんです」
アイベル「……ずいぶんと、優しい聞き方ね……? 答えると思っているの……?」
( ^ω^)「えっと、あの、そうじゃなくて……。僕、内藤ホライゾンっていうんです。僕のこと、何か知ってたり―――」
アイベル「内藤……!? ブーン君!? あうっ!」
突然に女性が体を持ち上げた
痛みが走ったのか、小さくうめき声を上げ、動けなくなった
少し照れくさくなりながらも、肩を抱いてゆっくりとベッドに横たえてやる
相変わらずの荒い息遣いと、痛みで潤んだ目でこちらを見つめてくる
うわぁ、とってもエロティックな―――
再びバカか僕は、と突っ込みを入れる
脳内がピンク一色じゃないか


693:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 00:29:38.25 ID:DDGlJWRg0
アイベル「ブーン君……。君、なんで……? どうして……」
女性は今にも泣きだしそうな顔になっている
なんで、どうしてと問われても、返答に困る
( ^ω^)「えっと……ごめんなさい……」
なんとなしに謝る
なんだか、物凄く悪いことをしているような気分になる
アイベル「どういうこと……? なんで、地球軍なんかに……。ツンも……彼女も悲しんでいたわよ……?」
玉のような汗が噴き出している
タオルでそっと拭う
( ^ω^)「僕……記憶がないんですお……」
アイベル「記憶……? 記憶喪失……?」
( ^ω^)「そういうことですお」
アイベル「じゃあ、なんでMSに……戦っているの……? 命令……?」
喋ること自体辛いのだろうか、酷く衰弱している
……僕がやったんじゃないか
( ^ω^)「違うお。守らなきゃいけない人達が、いるんだお」
マナを、艦長たちを守る
そう決めて、戦っている
女性は信じられない、とでも言いた気な表情で、こちらに顔を向ける
アイベル「……そう……。それで、聞きたいことって、なに……かしら……?」
( ^ω^)「昔のことだお」

695:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 00:31:23.27 ID:DDGlJWRg0
アイベルは何処から話せばいいのか、としばらく考えていたが、軍学校ではじめて出会ったというときの話をはじめた
自分のチームに新たに所属になった3人の新入りの中に、僕がいたらしい
その三人は僕とツンとドクで、才能があり、すぐにパイロット候補になったという
三人はとても仲がよく、いつも一緒にいた
そして月日は流れ、三人は一緒にトップガンとして選ばれた
その直後の戦闘で、敵の攻撃を受けて僕は地球へと墜ちていった
そして、僕達は敵として戦うことになった
( ^ω^)「…………」
アイベル「青色の機体とピンク色の機体があったでしょ……? 青がドク君、ピンクがツンよ」
( ^ω^)「どっちとも戦ったお……」
アイベル「そう……」
先程飲ませた痛み止めが効いてきたのか、大分楽になったようだ
それにしても、よく出来たお話だ

698:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 00:34:35.01 ID:DDGlJWRg0
( ^ω^)「とても信じらんないお。大体、MAにやられるなんて、信じられないお」
アイベル「宇宙は音がしないの。だから必然的に、視覚とアラートに頼るしかない。……でもその時、"アブソリュート"のアラートは故障していたらしいの。ありえない話じゃないわ」
( ^ω^)「でも……!」
アイベル「彼女……ツンは、あなたとは戦いたくないって、泣いていたわ。……ねぇ、悪いことは言わないから、戻ってあげて。彼女、いつもは無愛想だけど、あなたのこと、ずいぶん好いてるみたいよ」
( ^ω^)「僕は……そんな子知らない。それに"レイジ"は僕を殺すつもりでかかってきたお。あなたは見てないかもしれないけど……」
ふと、写真の少女を思い出した
裏に書いてあった、「死ぬな」という言葉
"レイジ"にはあの子が乗っていて、僕を殺そうとした
―――そんな子、知らない
アイベル「あそこまで彼女を追い詰めたのは、他でもないあなたよ? 彼女にだって守らなきゃいけないものがあるの。それを壊されそうになったら、誰だって戦うわ。……あなたとも」
( ^ω^)「……っ! もういいです。ありがとうございましたお」
スッと立ち上がって、出口へと足を進める
聞かなければよかった
敵の事なんか知って、一体どうしようと言うのか
( ^ω^)「……名前は、なんていうんですかお?」
アイベル「……アイベルよ。以前のあなたが守りたかったものを、今のあなたが壊すのは、悲しいわ」
( ^ω^)「…………」
医務室を抜けて、駆け走りで自室へと向かった

700:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 00:37:26.44 ID:DDGlJWRg0
自室では、マナがコーヒーを入れていた
こちらに気付くと、微笑んだ
マナ「あ、おかえりなさい。どうでし―――」
言葉を遮り、力一杯に抱きしめる
マナ「ど、どうしたんですか? な、内藤さん……?」
( ^ω^)「僕が守りたいのは、君だお……」
彼女の少し速くなった鼓動が、胸を通して聞こえる
守りたいものを、守るんだ
それで誰が傷ついても、悲しんでも、僕を恨もうとも、関係ない
障害となるものは全て、取り払うまでだ
マナ「内藤さん……」
マナはためらいながらも、抱き返してくれた
どうしようもなく彼女が愛しい
僕は、彼女のために戦う

706:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 00:40:40.14 ID:DDGlJWRg0
次の日の朝には、首都イザウェルへと"イシューリエル"はたどり着いた
ベッドの上で渋っていたヴィネを引きずって、ブリッジへと向かう
艦内無線で<任のあるもの以外は、今日一日を自由行動とする。AM2時には艦へ戻るように>と指示を出す
通信機の向こうで、小さな歓声が巻き起こっている
(´・ω・`)「さぁ、行くよ」
口を尖らせているヴィネを再び引きずって、ブリッジを後にする
ヴィネ「……行きたくない」
(´・ω・`)「お前は議長で、ここは戦艦。どう考えても、お前のいるべき場所はここじゃない」
ヴィネ「私のいたい場所は、あなたの―――」
水気を孕んだヴィネの声を、キスで止める
口内にヴィネを感じる
(´・ω・`)「心配しなくても帰ってくるさ……。簡単に死んでやるつもりはない」
ヴィネ「……わかった」
だから、といって諭し、ヴィネを連れて歩き出す

707:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 00:41:21.35 ID:DDGlJWRg0
不意に視線を感じ、後ろを振り向くと、真っ赤になった操舵士と、悪魔のような笑みを浮かべているCICが立っていた
み、見られて―――
CIC「艦長、私ボーナスが欲しいなー、って思ってたんです」
(´・ω・`)「お、お前、艦長をゆする気か!?」
CIC「いやー、別にそういうつもりじゃあないですけど? ただ、今日一日くらいずっと遊んでいられるくらいのお金が貰えたらなー、って。ねー?」
操舵士「そ、そうです……ね」
CICが操舵士に話を振るも、彼は純情なのか、口元を押えてそっぽを向いてしまっている
CIC「私、お金ないですからねー。仕方ないから、艦の中で皆とお・は・な・し、でもしてようかな?」
(´・ω・`)「お、お前ってやつは……」
再びヴィネと一緒に歩き出す
懐が寒さを訴えている
ヴィネが「やっぱりいいクルー達ね」とおかしそうにケラケラ笑っている
まぁ、こうして彼女が笑ってくれているので、いいか
いや、よくないだろ
後で呼び出してやる
そう心に決めて、艦を後にした

710:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 00:44:17.19 ID:DDGlJWRg0
先程艦長から、今日は自由にしていい、という連絡が入ったにもかかわらず、外に出られないでいた
マナが起きてくれない
( ^ω^)「ま、マナちゃん……。起きてお」
肩をつんつんと突くも、「ん……」と身じろぎをするだけで、起きる気配がない
時計に目を向けると、AM9時を大きく回っていた
ふと、昨日のことを思い出す
抱き合った後、特に何も出来なかった
キスでもしてみようかと思ってたが、しばらく抱き合っていたら、マナはブーンの胸の中で夢の中へと足を踏み入れていた
たしか、あれはPM9時くらいだったはず
どう考えても、寝すぎだ
というか、なにかがとてつもなく切ない
( ^ω^)「マナちゃーん?」
今度は頬をつついてみる
コロンと寝返りをうって、指から逃げていった
( ^ω^)「マーナちゃーん」
再び頬をふにふにと押す
やっぱり反応はない
これなら……
( ^ω^)「ふひひひ……」
そっと胸の方へと指を持っていく
上下するロマンへと、着実に指が進んで―――
CIC「内藤くーん! さっき艦長と議長さんが……」
( ^ω^)「あ」
CIC「…………ねぇねぇ、わたし今、お金がないんだよなぁー」

714:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 00:47:53.01 ID:DDGlJWRg0
マナ「どうしました? なんだか元気がないですけど」
( ^ω^)「いや……気にしなくていいお……」
懐が、寒いと嘆いていた
元々の所持金自体がたいした額ではなかったため、被害総額はたいしたものではなかった
それでも、今日一日の計画を水泡に帰すには十分の額だった
どこかに食事に行って、一緒にショッピングでも楽しめたらな、と淡く考えていたのだ
部屋でじっとしていても仕方がないのでなんとなく外に出たものの、行くあても資金もない
マナ「あの、何処か行くんですか?」
出かけるから一緒にどうか、と連れ出したのだが、どうしようもない
( ^ω^)「えー、あー……。さ、散歩?」
マナ「散歩、ですか……。いいですね、一緒に歩きましょうか」
まだ眠たいのか、目を擦っている
というか、どう考えても自分などと散歩してもつまらないのに、誘ってくれたのだからとあわせてくれる彼女の気遣いが、胸に痛い
とぼとぼと海岸線を歩く

717:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 00:48:53.43 ID:DDGlJWRg0
イザウェル、と言っただろうか
ここは海に接した都市で、首都だと聞いた
娯楽施設も多いし、海は綺麗だ
しかし、先立つものがないとなにも出来ないのは、都市ならではというか、なんというか
マナ「綺麗ですね、海。わたし、好きです」
( ^ω^)「そ、そうなのかお? ぼ、僕も好きだお」
マナ「そうなんですか? 海はいいですよね、大きくて。見ていると、余計な考え事も吹き飛んでいく気がするんです」
( ^ω^)「そ、そうだね……」
マナ「…………」
( ^ω^)「…………」
会話が続かない
第一、海を見るのは初めてだった
話をあわせて見ているようなことを言ってしまったことを、いまさらに後悔する
マナは水平線に視線を釘付けて、「余計な考えごと」を吹き飛ばしているようだった
外見や睡眠時間、食べることが遅いことや、この海を見て呆けている様子を見ると、どうやらこの子はとてもマイペースな子らしい
退屈していないことはいいのだが、このままだと一日中海を眺めていそうだ
ぽーっと道に突っ立って、焦点の合わない目で海を見ているマナ
( ^ω^)「あの、マナさん……」
マナ「…………え、あ、はい? どうしました?」
( ^ω^)「いや、お腹すかないかお? どこか食べに行こうか?」
マナ「あ、すいません。艦へ戻りますか?」
確かに艦に戻れば食事は取れるが、ここまで来たので、せめて外食したい
近くに飲食店はないかとあたりを見回すと、工場のようなところの近くにファーストフード店を見つけた
( ^ω^)「あ、あそこでご飯にしよう? たまにはああいうところもいいよね?」
マナ「あ、はい。じゃあ、行きましょうか」

720:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 00:51:43.56 ID:DDGlJWRg0
店内に入ると、作業服を着た人間がたくさんいた
鉄や油の微かな金属的な匂いが、鼻腔を刺激する
軽めの内容のものを持ち帰りで注文し、待合席に座る
お金はとりあえずなんとかなった
マナにも出してもらったのだ、恥ずかしいことだが
作業員が発する嫌な臭いにも負けず、厨房からはいいにおいがする
( ^ω^)「んー、楽しみだお」
マナ「そうですねー」
軽く会話を交わしていると、近くの席でハンバーガーにかじりついている作業服を着た男たちの話が耳に入った
男A「なぁ、お前聞いた? 敵さんのMSが落っこちてきた話」
男B「おー、聞いた聞いた。つか、今うちのドックで修理中だっつの、それ」
どうやら、"アブソリュート"の話をしているようだ
男A「え、マジ? つか笑い話だよなー。最新のMS造ったと思ったら寝返られちゃってよ。やつら相当悔しがってんじゃね?」
男B「だろうな。しっかし、一体誰が乗ってんのかね? 案外、それに乗ってたやつかもな」
男A「うは、ありえねー! まぁ、こっちとしては嬉しい限りだけどよ、そいつ裏切りもんじゃん」
汚らしく食べかすをこぼしながら、ケタケタと笑いながら話す
( ^ω^)「…………」
マナ「……内藤さん……」
( ^ω^)「別に気にして無いお。僕は僕だ。裏切り者なんかじゃないお」 
そうだ、僕は僕
守りたいものがあって、戦っているんだ
誰にも否定なんか出来ない

723:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 00:53:49.23 ID:DDGlJWRg0
男A「そういやさ、うちもMS開発はじめたらしいじゃんか。ラインに乗るのはいつなのかね?」
男B「知るかよ。でもま、乗ったが最後、こっちの勝ちは決まりだな」
男A「だな。これでやっと連れのところに帰れるってもんだぜ」
男B「ささっと全滅して欲しいもんだぜ。あいつらのせいで親友も殺されたんだ。許せねぇぜ」
男達の会話が終わったところで、注文したものが届いた
足早にそこを後にして、海辺のベンチに腰をかける
マナが頼んでいたハンバーガーとドリンクを手渡し、自分もそれにかぶりつく
( ^ω^)「おいしいお」
マナ「そうですね」
気のない会話を交わす
味もほとんどしない
頭の中には、先程の男達の会話が響いて離れていかない
裏切り者……
確かに宇宙連合側から見れば、そうだろう
昔の僕は、宇宙に守りたい人がいて、地球と戦っていた
しかし、今の自分は地球連合の人間だ
地球に守りたい人がいて、宇宙と戦っている
マナ「美味しかったですね、これ」
( ^ω^)「あ、うん、そうだね……」
マナ「これからどうします? 何処か行きます?」
( ^ω^)「…………」
目の前には、広大な海が広がっていた
悠然とした、広大な青
小さな悩みなど、吹き飛んでしまうというのは、本当かもしれない


724:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 00:56:27.10 ID:DDGlJWRg0
( ^ω^)「海でも、見てようか……」
そう提案すると、マナは快く承諾してくれた
二人で肩を寄り添わせ、海を眺める
アイベルの言葉を思い出す
『昔のあなたが守りたかったものを、今のあなたが壊すのは、悲しいわ』
守りたいもの、守りたかったもの、倒すべきもの、倒してきたもの
取りとめもないものを、一時でも誤魔化す
結局その日は、夜の帳が下りてくるまで、マナと一緒に海を見ていた
マナも、僕のように、何かに苦しんでいるのだろうか
海は、考え事など吹き飛ばしては、くれなかった


726:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 01:00:44.21 ID:DDGlJWRg0
―――数年前

ヴィネ「あ、あの、トイレって何処ですか……?」
(´・ω・`)「……は?」
軍基地の視察など退屈なだけとわかっていたので、あまり来たくはなかったのだが、父の命には逆らえない
何人かの軍人のお偉いさんを従えて、簡単な説明を受けながらだだっ広い基地内を散策する
だが、ハンガーというこの場所は、広すぎた
ヴィネ「と、トイレです……。何処ですか?」
前を歩く将校たちに気付かれないよう、後ろについてきていた軍服の人間に耳打ちをした
聞き返されてとてつもなく恥ずかしかったが、背に腹は変えられない
(´・ω・`)「……あの、お話聞いてました?」
ヴィネ「……え?」
(´・ω・`)「トイレはすぐそこですよ。今さっき言ったばかりですが……」
ヴィネ「あ、ありがとうございます!」
呆れ顔の軍人の言葉を聞き、さっと指差された場所へ駆け込んだ


28:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 01:03:23.86 ID:DDGlJWRg0
将校1「……ん? ヴィネ議長は何処へ?」
前を歩いていた将校の一人が振り返り、ショボンに言った
彼等はヴィネがいないことを悟ると、途端に顔を作るのをやめた
(´・ω・`)「議長は用を足しに、そこへ」
将校2「そうか。……では、ここでお開きにするか……」 
将校3「です、な……」
将校たちはそういうと、面倒な仕事を片付けたように溜め息をつき、帰っていこうとする
(´・ω・`)「いいんですか、そんなことしても?」
思わず問う
用を足している間にいなくなるなど、そんな失礼があるだろうか
将校1「兵たちへの挨拶は終った。別にもう、彼女に用はないのだよ。後始末は頼んだぞ」
(´・ω・`)「…………」
自分の横を素通りしていく将校たちに嫌悪を抱きつつも、表情を変えずに敬礼する
確かに議長としての人間に用はあっても、ただの女性に用はない
それでも、後始末などという言い方はないだろう


729:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 01:05:34.40 ID:DDGlJWRg0
ヴィネ「すいません、ご迷惑をおかけして……。あら、皆さんは?」
何も知らないヴィネが、戻ってきた
(´・ω・`)「すみません、はぐれてしまったようで……」
自己嫌悪しながらも、そう伝える
しかし、ヴィネは何か悟ったように、そうですか、と呟いた
ヴィネ「でも、ちょうどよかったわ。退屈だったもの」
(´・ω・`)「はあ……」
ヴィネ「ねぇ、あなた名前はなんていうの?」
案内されていた時の仰々しさとはうって変わった馴れ馴れしさに、少し眉を寄せる
(´・ω・`)「ショボンです」
ヴィネ「へー。あ、私はヴィネっていいます」
地球の国家がほぼ統一され、その連合の議長を務めている人物の名前を知らない人間が、果たしているだろうか
いたとしたら、それは赤子か呆けた老人くらいだろう
呆れ顔で知っているとショボンが伝えると、ヴィネは驚いたようにそうなの、と言った


730:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 01:07:32.30 ID:DDGlJWRg0
ヴィネ「あ、そう言えばさっきは、ありがとうございました」
ヴィネはそう言うと、ショボンに手を伸ばした
(´・ω・`)「…………」
ヴィネ「手なら洗ったわよ。失礼ね」
(´・ω・`)「いや、そうじゃなくて。洗ったら拭いてください」
気付かれない程度に小さく溜め息をつき、ポケットからハンカチを取り出す
ヴィネは自分の手を見つめると、誤魔化すように苦笑いをした
(´・ω・`)「……総連の議長だから、どんなに立派な方なのかと思っていましたが……」
ヴィネ「ご期待に沿えなくて、すいませんでした」
(´・ω・`)「いえ、可愛らしい方なんだな、と」
MAに取り付いている整備士に目をやりながら、投げやりに社交辞令を述べる
裏で指示を出している人間がいる、という情報は何処からか聞いたことがあるが、あながち間違っていないかもしれない
ハンカチを返してもらおうとヴィネに振り返ると、彼女は顔を赤らめていた
(´・ω・`)「え、あ……。じょ、冗談ですよ?」
ヴィネ「え、冗談なの? そ、そうよね。なに赤くなってるのかしら私……」
突然赤くなられ、ショボンはどきりとした
この程度の社交辞令は、言われなれているかと思っていたのだが……


731:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 01:08:02.55 ID:DDGlJWRg0
気恥ずかしそうに俯く彼女を、改めてよく見てみる
綺麗な金の髪に、雪のような白い肌
胸はそんなに大きくないが、全体的にほっそりとした印象は、彼の好みだった
ふと気がつくと、ヴィネは非難の目をショボンに向けていた
(´・ω・`)「あ、その……」
ヴィネ「案内も終ったことですし、そろそろ帰ります。ありがとうございました」
そう言ってヴィネはさっさと歩いていってしまった
(´・ω・`)「あー……、しくった」
追いかけるのも面倒だったので、ショボンはその場でぱしりと頭を叩き、休憩室に足を運んだ
どうせ、責任がかかるのは将校達になのだ、かまわないだろう


733:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 01:09:32.97 ID:DDGlJWRg0
(´・ω・`)「うーん……、マンダム」
休憩室でゆったりとインスタントのコーヒーを飲んでいると、正面の自動ドアが動き出した
とっくに作業時間は過ぎているのに珍しいなと思い、ドアに視線を集中させる
中に入ってきたのは、半泣きになったヴィネだった
(´・ω・`)「な、なにを? 忘れ物ですか?」
ヴィネ「ま、迷ったの……」
総連がもしこの人物によって成り立っているのなら、かえって危ない気がした


737:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 01:15:18.57 ID:DDGlJWRg0
(´・ω・`)「どうぞ」
ヴィネ「お邪魔しまーす」
議長を送り返すための小型の航空機が基地の前に用意されていたが、自分の服を目深に被らせてそこを素通りした
そして、宿舎の自室にヴィネを連れこんだ
あの将校たちは、今ごろ慌てふためいている頃だろう
責任を問われるかも知れない
自分にも多少責任が及ぶかもしれないが、それはそれでかまわなかった
あたふたとしている将校を想像すると、クツクツと笑けてくる
ヴィネ「こんな所に連れ込んで、何をしようっていうのかしら?」
羽織らせていた服をベッドに投げ捨て、ヴィネが言った
セリフのわりに、なんだか楽しそうだった
大体、危険だと思ったらついてこなければいいものをと思ったが、口にしなかった
(´・ω・`)「別に、なにもするつもりはないですよ。夜も遅いですし、泊まっていってください」
ヴィネ「何もしないの?」
(´・ω・`)「犯すぞ」
無表情でそう言ってやると、ヴィネはひゃ―、と言いながらベッドに倒れこんだ
本当にこの人は、いつもテレビで雄弁と語る、あの人物なのだろうか
これでは、馬鹿な女友達と変わらないではないか


743:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 01:17:29.51 ID:DDGlJWRg0
(´・ω・`)「ホントにお前、ヴィネ・ミュラー? 地球総連の議長?」
ベッドから起き上がり、勝手に冷蔵庫を開け出した議長に、思わず敬語を使わずに問う
いくらなんでも、はしゃぎすぎではないだろうか
言うと、ヴィネは冷蔵庫をパタンと閉じ、一転悲しそうな表情で、ショボンを振り向いて言った
ヴィネ「議長なんて、好きでやってるわけじゃないわ。父の言ったことを、テレビで言ってるだけ」
おそらく昨日の自分なら、思わず仰天してコーヒーを盛大に吹き出していたことだろう
しかし、この光景を見ては、誰もが納得してしまう
ヴィネ「……ねぇ、よかったらさらってくれない? どっか連れてって」
顔は笑っているが、陰が悲しんでいた
自分を隠すのが下手な女だ
(´・ω・`)「犯罪を犯す気にはならないね。……でもまぁ、今夜ははめを外しなよ」
一生懸命「議長である自分」を演じてきたのだろう
自分がもしその役目を負っているとしたら、彼女のように役から逃れるため、自分を壊してしまうような願いをするだろう
馬鹿な女だと思っていたが、それは同情に変わった


747:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 01:20:11.11 ID:DDGlJWRg0
ヴィネ「じゃあ、お酒! お酒飲んでみたいわ!」
(´・ω・`)「なに? 飲んだことないの、お前?」
ヴィネ「無いわよ。なに? 文句あるのかしら?」
(´・ω・`)「別に無いよ……。じゃまぁ、このテキーラはサービスだ。受け取れ」
冷蔵庫にかなりの量入っていた酒瓶を、ヴィネに投げる
ヴィネ「なに、これ? テキーラ?」
(´・ω・`)「うん、なかなか美味いよ。ほろ酔い気分になれて、気持いいから」
実際は下半身にくる程の酒だが、無知な彼女には嘘を言ってもばれないだろう
翌日大変なことになっても、謝って許してもらおうとは思わない
ヴィネ「そうなの?」
ヴィネはそう言うと、キャップを外し、ラッパのようにそれを口につけ、一気に呷った
何も知らないと言うことは罪だなと、涙目になって便所に走る彼女を見て、ひしひしと感じた
戻ってきたヴィネは、半分死んでいた
ヴィネ「嘘つき……」
(´・ω・`)「まぁ、そう怒るな。……はいこれ、水」
口を押えているヴィネに、ショボンが無色透明の液体を手渡した
ヴィネ「ありがとう」
人を疑わないことはとても素晴らしいことだが、少しは相手の性格から何をされるか察した方がいいな、と再び便所に駆け込む彼女を見て、ひしひしと思った
ヴィネ「馬鹿……」
(´・ω・`)「間違えたんだ、ごめん。はいこれ、水」
……もう何も言うまい
その夜ショボンは、ヴィネを酒まみれにして、楽しく過ごした
ヴィネも死にかけてはいたものの、楽しそうだったような気がする
これが、二人の馴れ初めである
それ以来、ショボンとヴィネはたびたび会うようになった


750:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 01:26:02.55 ID:DDGlJWRg0
―――現在

(´・ω・`)「それじゃ、元気でな」
ヴィネ「うん……」
議会へと、車で走る
道中、特に会話は無かったように思える
親しい人と別れるときは、人間、口数が減るものだ
厳かな建物の前に、車を止める
車を降り、体を伸ばす
どうも車を運転するのは嫌いだ
欠伸をかみ殺して、ヴィネが降りるのを待っていが、いつまでたってもヴィネが降りてこない
業を煮やして中を覗くと、彼女は降りる気配も見せず、俯いていた
(´・ω・`)「なにやってんのさ。早く降りてよ」
ヴィネ「……だって、外に出たら……出来ないじゃない」
一瞬何を言っているのかわからなかったが、数泊置いて意味を察せた
仕方がないなと溜め息をつき、車の中に再び入って、ドアを閉めた


757:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 01:33:38.74 ID:DDGlJWRg0
世界で最も強力で、残酷な兵器―――核
戦いをはじめてすぐ、地球軍はその力に頼り、宇宙へと放った
開戦と共にの奇襲、そして終幕
それが地球連合の書いたシナリオだった
しかし、そのシナリオは、宇宙連合の技術で、簡単に書き直す目にあった
自由中性子の阻害により、核分裂を阻害する装置
中心となるコロニーから発せられているそれによって、大気圏外での核の使用は、不可能となった
強力なバッテリー
圧倒的な技術力から、核の力が得られなくとも、地球軍の力に勝るとも劣らぬ力を得た
そして、戦争の勝者がどちらになるかは、わからなくなった
高機動兵器の台頭、局地的な戦闘では、勝ち目が薄い
「MSと言ったか、連中の兵器は。その技術がこちらに渡った時点で、我々の勝ちは決まりだな。連中の頼みのビーム兵器の技術も、こちらのものだ。物量で圧倒的に劣る奴等の息の根を止められるのも、時間の問題だな……」
ヴィネを議会に届た際に、呼び止められた
"イシューリエル"の詳しい改修の内容、パイロットの補充、そして自分の特進
その要人との会話の最中に出てきた言葉を思い出す
クツクツと笑うその狸に吐き気を覚えながら、たずねてみた
(´・ω・`)「我々は、一体なにが欲しいんでしょうかね」
要人は一瞬意味がわからないとでも言いた気な表情でこちらを見た後、大げさに手を広げて、言った
「平和に、決まっているだろう?―――」


758:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 01:36:44.25 ID:DDGlJWRg0
宗教
それは時に、狂気を正当化するための盾となる
自らに都合のよい神意を盾に、意にそぐわぬ者を屠る
宇宙へと人が上る前から、議会はある大きな宗教団体の影響を受けていた
もっとも、カルト宗教団体とは仮の姿
元々は小さなパトロンだったそれは、時を経るにつれ肥大化し、今に至る
以前は裏から手を伸ばしていたそれも、今では議会へと人間を送り、役職へとつけた
今地球の、議会の意志を決めているのは、オットフリート・ミュラー
"アザト―ス"の教祖、そして、ヴィネの父
ヴィネ「…………」
オットフリート「どうした。戦艦での長旅の疲れでも出たか?」
数日ぶりの自分のデスクに戻ってきた
気分を陰鬱にさせる、だだっ広い部屋
使用人に人払いを頼み、だらしなく机に突っ伏していると、男が入ってきた
ヴィネ「別に、そんなことはないです」
オットフリート「そうか」
社交辞令を適当にかわす
人を見下したような嘲笑を口元にたたえたこの男は、我が物顔で部屋に押し入ってくると、ドカッとソファーに腰掛けた
宇宙に核を放つ命を出したのは、この男だ
―――いや、実際には私だ
私はマリオネット
父の指示を聞き、ただ実行する
情報規制により、悪いのは宇宙連合となっているが、真っ赤な嘘だ
父は、勝手に宇宙へ上がり、発展していく彼等が気に入らないのだ


759:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/14(火) 01:38:40.26 ID:DDGlJWRg0
オットフリート「お前の乗っていた戦艦、面白いものを拾ったそうだな?」
ヴィネ「はい、宇宙連合の最新型の機体を鹵獲したそうです」
オットフリート「……まぁ、いい。剣は多い方がいいからな」
剣、か……。
辛い思いをしているであろう彼等を、剣と形容するこの人物に、微かな嫌悪を持つ
いや、私が人のことを言えた義理は無い
所詮は父と同じだ
オットフリート「その例の艦だが……。『宇宙を見限った宇宙民』の乗っている船として、フラッグシップにする予定だ」
ヴィネ「フラッグ……シップ?」
オットフリート「近い内に力のあるパイロットを送り込む。MS部隊を指揮し、今度の聖戦の英雄、にでもなってもらうためにな」
ヴィネ「…………」
オットフリート「お前としても都合がいいだろう? あの艦の艦長とは、親しいようだしな」
彼は緩慢な動作でソファーから立ち上がると、侮るような口調でそういった
オットフリート「では、議長殿にはまた演説をしていただこうかな……」
MS部隊への志願を募るため、軍本部へ直々に演説をしに行くのだ
また、人を死地へ追いやる仕事だ
オットフリート「はっ……何をためらうことがある? 殺されないために戦うのだ。黙っていても殺されるのなら、同じことだろう?」
父の口調は諭す、というより命令といったふうだ
だが、確かにそうだ
このまま黙っていたら、殺される
仕方の無いことなのだと目を伏せて、父の後に従った
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【2006/03/14 08:01 】 | ( ^ω^)ブーンはガンダムのパイロットのようです | comment(0) | trackback(0)

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