忍者ブログ
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【2017/06/26 16:03 】 |

( ^ω^)ブーンはガンダムのパイロットのようです part6
301:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 00:22:34.66 ID:lSAjZWfl0
ヱイル「父上」
ネルガル「あぁ、ヱイル。どうぞ」
執務室のドアを叩くと、声が返ってきた
失礼する、と中に入り、デスクに座っているネルガルの前に立つ
ネルガル「どうしたのかな、こんな所に」
操作していた端末を閉じ、彼はいつもの落ち着いた声で言った
その声に、微かな怒りを感じる
ヱイル「何故あの艦を我が国へと招いたのだ? ただでさえ目をつけられているのだぞ」
おそらくこの男は、今もこうしているように、ポーカーフェイスのような微笑みで答えたのだろう
我が国に戦争技術はない、と
強力なジャミング、そしてクラッキング
ありとあらゆる情報を取り込んで、秘密裏に力を蓄えている
守りたかった世界を、取り戻すために
ネルガル「なにか、あったのかな?」
見透かしたような言葉に、また眉間に皺を寄せる
『そんな奇麗事なんか言ったって、誰も聞いてなんかくれない!』
ヱイル「別に、何もない」
ネルガル「そう……」


302:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 00:24:20.37 ID:lSAjZWfl0
奇麗事
戦争は間違っている
そう叫ぶことは、奇麗事なのだろうか?
自分は安全な場所にいて、それを言うことは、いけないことなのだろうか?
ならば何故、危険な場所にいるものは、それを言わないのだ?
ネルガル「誰も戦争を望んでいるわけじゃないのにね。……戦ってる人だって、きっと同じ」
戦いたいわけじゃない、殺したいわけじゃない
でも、撃ってくるから撃ち返す
奪ったから、奪い返す
ヱイル「思ったところで、やめることが出来ねば、意味がない」
やったらやりかえす
それでは喧嘩は終らないと、子供の頃に習った
そんなこともわからないのだろうか、彼等は


303:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 00:24:46.48 ID:lSAjZWfl0
ネルガル「……でも人は、そんなに単純じゃないんだよ……」
呟くように言い、ネルガルはデスクの端においてあった写真立てを手にとった
その中には、ネルガルとヱイル、そして幸せそうに微笑む女性が映っていた
ネルガル「理屈ではわかっていても、どうしようもない時もあるんだ」
ヱイル「だが……!」
ネルガル「……皆、思っていることは私たちと同じだよ。だから、大丈夫」
ネルガルは写真たてを元の場所におくと、目を細めていった
平和な世界で、幸せに暮らしたい
皆、そう思っている、必ず
ネルガル「今は待とう、機会を」


304:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 00:25:55.89 ID:lSAjZWfl0
(´・ω・`)<一体、君たちはいつまで寝てる気なのかな>
通信機の向こう側から、微かな苛立ちを含んだ声が聞こえる
( ^ω^)「あ、その……。僕は起きてるんですけど、マナちゃんが……」
汗をかきながら、ベッドの上で沈黙しているマナをちらと見る
マナは時々眉を寄せながら、規則的な寝息をついている
最近は夢見が悪くなってきたのか、表情が辛そうだ
(´・ω・`)<まぁ、別に寝ててもいいんだけどさ。エリュシオンの領海を出たら、いつ戦闘になるかわからないからね>
要は、機体の調整をしておけ、ということだ
唯一の戦闘員、僕たちの休養のため、この艦は出港の時間をずらしているようだった
マナが寝返りをうった
(´・ω・`)<整備士のお兄さんに怒られないうちに行った方がいいと思うよ。じゃ>
そこで通信は、一方的に切られてしまった
"アブソリュート"の調整は、特にしなくても整備士の彼等がやってくれている
OSの調整は自分にしか出来ないが、ほとんどのコードは停止させてマニュアルで操作しているので、特に何もしなくてもよいのだ
とは言ったものの、一応は顔くらい出しておかなければならない
自分が出撃できるのは彼等のおかげなのだから
とは言っても、彼等は彼等で守ってもらうために必死なのだろうが


305:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 00:26:34.00 ID:lSAjZWfl0
守る、か……
『銃を置かねば戦争は終らぬ。間違っていることに何を重ねても、正しくなったりはしない!』
守ることは、正しいことだ
力のない彼等を、力のある僕が守る
それの何が悪い? 何が間違っているというのだ?
あの少女は知らないんだ
僕達がいつ死ぬかもわからない場所にいて、生きるために戦っているということを
奇麗事一つで終るほど、戦争は簡単じゃない


306:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 00:28:38.20 ID:lSAjZWfl0
"イシューリエル"に下った命は、軍本部のあるトラロクンまで艦を運べ、ということだった
本部へ艦を、ということは、戦力を一つに集めるということを意味している
一気に侵攻戦を仕掛ける気だろうか
防弾ガラスの外を覗くと、海に囲まれた島国が小さくなっている
CIC「あーん、なによこれー……」
一人で難しい顔をしてると、艦長席の前で計器をいじっていたCICが声をあげた
(´・ω・`)「なに? どうした?」
CIC「さっきまでは調子よかったのに……。レーダーとか通信機が機能しないんですよ」
困り顔で振り返ったCICが、お手上げといった調子で言った
(´・ω・`)「ジャミングじゃないのか?」
CIC「通信妨害? なんでそんなことしなくちゃいけないんですか」
エリュシオンが、ということだ
確かに、あの国がわざわざ通信妨害を行うメリットが無い
やましいことが無いのなら、衛星監査されようと問題は無いはずなのだ
やはり、何か隠しているのだろうか?


307:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 00:29:44.22 ID:lSAjZWfl0
CIC「艦長」
(´・ω・`)「なに?」
再び難しい顔をしていると、またCICが声をあげた
まだ何かあるのだろうか
CIC「私これないと仕事できないんで、部屋で休んでていいですか?」
またコイツは……
(´・ω・`)「仕事ないなら砲手手伝え」
CIC「ちっ」
(´・ω・`)「ちってなんだ、ちって」
操舵士「艦長!」
(´・ω・`)「今度はなに!?」
落ち着いて思考をめぐらせることも出来ないではないか
これから先のことを、色々と考えておきたいのに
操舵士「敵戦艦を視認!」
CIC「はぁ~? もういいかげんにしてくださいよ」
(´・ω・`)「僕に言われても困るんだが」
確かに前方に、小さく戦艦らしきものが見える
おそらく既に射程に入ってしまっているだろう
エリュシオンを出てすぐこれか……
(´・ω・`)「アンチビームスモーク出力最大で展開! 対空自動機銃用意、及びミサイル装填! 主砲チャージ!」


309:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 00:32:10.47 ID:lSAjZWfl0
('A`)「アイベルさん! 無事だったんですね!」
ブリーフィングのために、ドクの部屋をアイベルとともに訪れた
ドクはアイベルの姿を見受けると、沈んでいた表情を一変させて、喜色を浮かべた
アイベル「ごめんね、心配させて」
二人が話しているのを、ドアの外の壁にもたれて聞き流してた
ドクはずるい
一度失ったと思っていたものが、戻ってきた
私はこれから、失いにいくというのに
('A`)「ツン、本当にいいのか?」
アイベルから事情を聞いたのだろう、ドクが心配げな表情で問うてきた
なにをいまさら
私にそれを、ブーンは倒さなければならないと言ったのは、ドクではないか
ξ゚⊿゚)ξ「……行くわよ」
顔を向けることもせず、ブリーフィングルームへ向かう


311:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 00:33:57.63 ID:lSAjZWfl0
……なにをやっているんだ、私は
ドクやアイベルは、何も悪くない
彼等に当たっても、何の意味も無い
幸せそうな彼等が気に入らないだけなのだ
ξ゚⊿゚)ξ「……っ!」
手を、力いっぱい握り締める
強く握り締めすぎて、血が滲む
もう、意味がわからない
私は何がしたいんだ?
何がほしいんだ?
何をすべきなんだ?
私はただ、ブーンと一緒に、いたかっただけなのに
涙の代わりに、血を流す
だが、私が皆を守らなければならない
自分勝手に、戦争から逃げ出すことなど、出来ない
涙が出ぬよう必死で唇を噛み締め、対岸にいる愛しいものに銃を向けるため、ツンは歩き出した
ブーンがいなくなれば、もう
……こんな気持にはならなくてすむんだ
もう彼を、憎みたくない


311:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 00:33:57.63 ID:lSAjZWfl0
……なにをやっているんだ、私は
ドクやアイベルは、何も悪くない
彼等に当たっても、何の意味も無い
幸せそうな彼等が気に入らないだけなのだ
ξ゚⊿゚)ξ「……っ!」
手を、力いっぱい握り締める
強く握り締めすぎて、血が滲む
もう、意味がわからない
私は何がしたいんだ?
何がほしいんだ?
何をすべきなんだ?
私はただ、ブーンと一緒に、いたかっただけなのに
涙の代わりに、血を流す
だが、私が皆を守らなければならない
自分勝手に、戦争から逃げ出すことなど、出来ない
涙が出ぬよう必死で唇を噛み締め、対岸にいる愛しいものに銃を向けるため、ツンは歩き出した
ブーンがいなくなれば、もう
……こんな気持にはならなくてすむんだ
もう彼を、憎みたくない


313:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 00:35:38.96 ID:lSAjZWfl0
ツンは、このところ様子がおかしかった
なにをしていても、心ここにあらずといった感じで、空虚な表情をしている
やはり、ブーンのことが気にかかっているのだろう
仕方ない気もするが、彼女が心配だ
アイベル「私、怪我してるから出られないけど……頑張ってね」
('A`)「はい、大丈夫です」
簡単なブリーフィングを終え、アイベルを引き連れてハンガーへとやってきた
ツンは既に"レイジ"に乗り込み、機体の調整を始めていた
アイベル「ツン、大丈夫かしら……」
アイベルが"レイジ"を見上げながら、言った
少し心配性なところも、彼女を気に入っている理由の一つだった
('A`)「大丈夫じゃ、ないでしょうね……」
ツンは、ブーンのことが好きだった
本人は隠しているつもりだったのかもしれないが、軍学校では知らない人間はほとんどいなかった
彼女はブーンの後ろをついて回り、いつも一緒にいた
ブーンは信じられないほど鈍かったので、まだ彼女の気持ちには気付いていないだろうが
いや、記憶を失った今、なんにしろ感情に意味はない
むしろ、その方がよかったのかもしれない
記憶喪失のせいに出来るだけ、まだ救われた


314:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 00:37:12.04 ID:lSAjZWfl0
('A`)「世界で一番大切な人がいなくなるって、どんな気持ちかわかりますか?」
アイベル「え?」
アイベルは戻ってきた
大怪我を負いながらも、自分の下へ
彼女が死んだと聞いたとき、俺は空虚感で一杯になった
あるのは憎悪と、脱力感
('A`)「世界は、その大切な人がいてこそ成り立つんだと思います」
『俺達の仲間は、ブーンだけじゃない!』
アイベルがブーンだったら、同じことは言えない
アイベルがいてこその、世界なのだ
アイベル「そうね……」
だから、俺は守らなくちゃいけない
この人を、世界を
敵から


315:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 00:38:48.16 ID:lSAjZWfl0
( ^ω^)「内藤ホライゾン、"アブソリュート"、出るお!」
新造されたリニアカタパルトから、"アブソリュート"が飛び出した
翼を広げ、敵艦を目指す
敵の戦闘艦から、5機のMSが吐き出された
( ^ω^)「マナちゃん! 援護を頼むお!」
マナ<はい!>
通信機の調子が悪いのか、微妙にノイズが走る
レーダーも敵の位置を教えてくれない
幸い晴天で、辺りを見回すには問題が無かったので、特に気にはならない
MSの姿勢を傾け、フットペダルを踏み込んで加速する
突出していた2機の"ハルパス"の光条を錐揉みして避け、すれ違いざまに1機を切り払った
"アブソリュート"に気を取られて、マナの"ラジアル"に背を向けたもう1機の"ハルパス"が、マナが放ったビームで、頭部を失った
カメラをやられて一瞬動きが止まった"ハルパス"に、"アブソリュート"がビームライフルを放った
一瞬で2機の"ハルパス"が爆散した


317:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 00:43:48.60 ID:lSAjZWfl0
('A`)<ジョルジュ! べジ―タ! ……くそっ!>
突出していた"ハルパス"2機が、"アブソリュート"と"ラジアル"にやられた
パラパラと散り、海に落ちていくMSの破片を見、眉をひそめる
ξ゚⊿゚)ξ「……アラマキ、アンタ"ラジアル"をやって。私とドクで"アブソリュート"をやるから」
止めるべきだった、この戦闘には彼らには荷が勝ちすぎる
いまさらに、それを悔やむ
指示を受けて、"ストラス"が"ラジアル"に向かっていった
新しくビーム兵器を搭載したようだが、"ラジアル"相手なら墜とされることも無いだろう
それに気付いた"アブソリュート"が、援護に行こうとするのを、威嚇射撃をして止める
お前の相手は……私たちだ


318:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 00:45:53.50 ID:lSAjZWfl0
( ^ω^)「くっ! マナちゃん!」
マナ<私は大丈夫です! ブーンさんは自分の戦闘に集中してください!>
"ストラス"が"ラジアル"に向かっていくのを止めたかったが、"レイジ"が放ってきたビームを回避していると、引き離されてしまった
"ラジアル"と"ストラス"に目を向けていると、"ヘイト"が近づいてきていた
牽制に放ってきたビームを、ビームサーベルを抜き払う動作で弾く
柄頭をジョイントさせ、こちらも"ヘイト"に向かって突っ込む
( ^ω^)「はぁぁぁ!」
サーベルを振りかぶると、"ヘイト"は背に手をやった
その行動が理解できず、目を細める
瞬間、"ヘイト"はMS程の大きさの長剣を一閃した
それに反応してシールドをかかげるも、勢いを止められず、左腕をもがれて吹き飛んだ
( ^ω^)「うわぁぁぁ!」
必死で制動をかけ、体勢を立て直そうとする
やっとのことで体勢を立て直すと、"ヘイト"が眼前に迫っていた
長剣での突きを紙一重でかわし、ビームライフルで狙いをつける
ビームを放つも、"ヘイト"は造作なくそれを避け、距離をとっていった


321:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 00:48:48.88 ID:lSAjZWfl0
( ^ω^)「くそっ! この前とは動きが……。それにあの武器……」
長剣は厄介だ
通常のビームサーベルと違い、実剣の部分のあるそれは、武器自体の重さで攻撃力が格段に上がっている
遠心力もつき、おそらくビームサーベルで受けたら弾かれてしまう
どうする……
"ヘイト"を睨みながら思考を巡らせていたが、けたたましいアラートでそれは遮られた
何か考える前に機体を上昇させると、先程までいた場所は、ビームの束でなぎ払われていた
"レイジ"が後ろに回り込んでいる
レーダーが機能しない以上、肉眼で敵を確認するほか無い
背後を映すモニターもあるが、"ヘイトから目を離していたら、すぐに輪切りにされてしまうだろう
焦りそうになる気持ちを何とか抑え、"ヘイト"に向かって突っ込んだ


322:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 00:50:17.98 ID:lSAjZWfl0
('A`)「お前の攻撃は、単調すぎるんだ」
先程と同じようにビームサーベルを振りかぶり、ただ猪突猛進してくるブーン、"アブソリュート"
冷静に見据え、下段に構えを取る
物凄い勢いで振り下ろされたサーベルを、"アブソリュート"の死角、腕の無い左に避ける
('A`)「終わりだ!」
新しく手にした16.72メートル対艦刀"グラム"を振り上げる
しかし、ブーンはそれをビームサーベルで防いだ
反応速度に一瞬目を疑ったが、ビームサーベルは弾け、"アブソリュート"の手を離れて、赤みがかってきた空へ高く舞っていった
丸腰となった"アブソリュート"にもう一度"グラム"で斬りかかるが、"アブソリュート"はさっと距離をとって離れていった
ビームライフルを構え、撃ってくる
それを簡単にいなしながら、モニター越しにツンに合図を出す
"アブソリュート"の真後ろにぴたりとついていた"レイジ"が高く飛び上がり、上空から"アブソリュート"を狙い撃ちにする
"レイジ"の存在に早くも気付いた"アブソリュート"がその場を離れようとしたが、ビームの奔流が左の脚部を削り取り、左の肩とビームライフルを破壊していった


323:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 00:50:53.55 ID:lSAjZWfl0
勝ったな―――
力なく落ちていく"アブソリュート"を見て、勝利を確信し、少し目を細める
もう、二度とブーンと会うことはなくなるのだ
彼とずっと、もっと話したかった
気の合う友人、唯一の親友だったのだ
だが、自分の世界を守るためには、何かを踏み越えていかなければならないのだ
"グラム"を構え、止めを刺すために落ちていく"アブソリュート"へと向かった


324:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 00:52:38.75 ID:lSAjZWfl0
( ^ω^)「ここまで……」
度重なる衝撃で朦朧とする意識の中、ポツリと呟いた
レバーを握る手も力なく、重力にしたがって落ちていく機体を制動する気力も起こらない
モニターには、逆さに映った"ヘイト"が剣を構え、こちらへ向かっていていた
死んだら、どうなるだろうか
マナちゃんは、悲しんでくれるだろうか
きっと悲しんでくれる
悲しんで、それで……
僕を殺したコイツを、憎むだろうか
( ^ω^)「マナちゃん……」
"ヘイト"の向こう側、"ストラス"を相手に、"ラジアル"が戦っていた
方翼をビームがかすり、煙を上げてバランスを失っている
( ^ω^)「僕は……」
『そんなことだから戦争が終らぬのだ!』
(  ゚σ゚)「…………」


325:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 00:54:21.04 ID:lSAjZWfl0
"ヘイト"の"グラム"が、"アブソリュート"を貫いたと思った瞬間、突然"アブソリュート"が機体を立て直した
"ヘイト"の突きを体を捻って避け、捻りを戻す勢いで"ヘイト"の頭部を殴って吹き飛ばし、翼を広げて"ストラス"と"ラジアル"の元へ駆け付けようとする
咄嗟に"レイジ"を、"アブソリュート"の前に立ちはだからせる
ξ゚⊿゚)ξ「もういいかげんに……墜ちてよ!」
全て銃口を"アブソリュート"へ向け、ビームを放つ
"アブソリュート"は錐揉みして何発か避けた後、機体を鋭角的に急上昇させた
慌てて目で後を追うと、後光のように夕焼けの光を背にしていた
一瞬機体を見失い、気付くと真上にいた
ビームライフルを向けるも、肩口に蹴りを入れられ、体勢を崩す
ξ゚⊿゚)ξ「んうっ!」
のしかかるような衝撃に、悲鳴をあげる
"アブソリュート"は"レイジ"を踏み台に、"ラジアル"を襲う"ストラス"へ向かっていった


328:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 00:56:28.04 ID:lSAjZWfl0
(  ゚σ゚)「邪魔だ! どけぇぇぇ!」
"ラジアル"にビームライフルを向けている"ストラス"に向けて、先程"レイジ"から奪ったビームジャベリンを投げつける
気付くのが遅れた"ストラス"の胸部に、それは狙い過たずあたり、動きが止まった
マナ<内藤さん!>
"アブソリュート"に気付いたマナが、安堵の声を上げた
動力系に損傷が無かったのか、胸部からは火花が散っている
"アブソリュート"が"ストラス"のビームサーベルをすれ違いざまに奪い、ビームブーメランを投げて爆散させた
(  ゚σ゚)「あとは……!」
体勢を立て直した"ヘイト"と"レイジ"が、向かってきていた


332:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 01:03:19.15 ID:lSAjZWfl0
油断?
違う、確実に墜としたと思った
それを"アブソリュート"は信じられない反応を見せ、満身創痍にもかかわらず"レイジ"の攻撃をいなし、攻勢を覆した
"グラム"を構え、"アブソリュート"に斬りかかる
"アブソリュート"は一閃を無造作に避けると、"ヘイト"に蹴りを入れ、追撃にとビームブーメランを投げつけてきた
強くなっている
"グラム"でビームブーメランを弾きながら、そう考える
まるで児戯の如くこちらの攻撃をいなし、攻撃を加えてくる
俺は手など抜いてはいない
ブーンが、俺より強いなど―――
ξ゚⊿゚)ξ<ドクっ!>
ツンの声で、"アブソリュート"が迫っているのに気がついた
('A`)「しまっ……ぐっ!」
ツンがビームを放ったが、それすらも掻い潜り、再び蹴飛ばされる
衝撃で頭を強く打ち付け、意識が飛びそうになる
モニターの向こうで、"アブソリュート"がビームサーベルを構えた
俺は、こんな……!
憎しみを込めた目で、自分を殺さんと迫るそれを睨みつけた
アイベル……
瞬間、何かが"ヘイト"のモニターを遮った
"レイジ"が、"アブソリュート"と"ヘイト"の間に、割って入った


334:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 01:07:37.85 ID:lSAjZWfl0
彼を憎むことを、これ以上、したくなかった
もう、昔のように笑いあえはしないけれど
それでも私がブーンを好きなことは、変わらないから
だから
結局、今の今まで、気持ちを伝えることが出来なかった
アイツは馬鹿だから、きっと私が好きでいること、気付いてなどいないのだろう
アイツは、馬鹿だから……
火花を上げるコックピットの中、通信機の周波帯の設定を変える
だからせめて、死ぬ前に伝えよう
私の気持ちを
もう、叶いはしないだろうけれど―――
ξ゚⊿゚)ξ「好きだよ、ブーン」


337:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 01:09:11.73 ID:lSAjZWfl0
胸にビームサーベルを突き刺したまま、"レイジ"は墜ちていった
海へ落ち、高く飛沫を上げる
ξ゚⊿゚)ξ<好きだよ、ブーン>
パシパシと、海水がモニターを叩く
体が動かない、時間が止まった
コックピットの中で、危険を示すアラートだけが鳴り響いている
(  ゚σ゚)「は……あ……」
自分の半身が、悲鳴を上げていた
刺されるような痛みが、頭に走る
('A`)<なんで……>
通信機から、震えた男の声が聞こえた
('A`)<なんで、お前がツンをぉぉぉぉぉぉ!>


341:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 01:11:51.19 ID:lSAjZWfl0
叫びながら、"グラム"で斬りかかる
ツンはお前が好きだったのに、泣いていたのに
なんで庇ったりなんかしたんだ、俺なんか
('A`)「くっそぉぉぉぉぉぉ!」
フラフラと、それでも攻撃をかわす"アブソリュート"に、更に腹が立つ
腹のたつことが多すぎて、わけがわからなくなってくる
痛くて、悲しくて、アイベルを殺そうとして、俺を殺そうとして、ツンを殺して
('A`)「うあぁぁぁ!」
"グラム"を一閃させる
(  ゚σ゚)<ぐっ!>
右腕と、方翼を落とす
止めにと"グラム"を構える
マナ<させない……!>
その時、横から一機のMAが、ビームを放ってきた
('A`)「邪魔を、するなぁぁぁ!」
一射を飛び退いて避け、シールドを投げつけた


345:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 01:14:20.79 ID:lSAjZWfl0
投げつけられたシールドの軌跡を、目で追う
必死で機体を向かわせようとするが、翼は落とされ、差し伸べる手も無い
マナ<あ……>
(  ゚σ゚)「マナ……!」
モニターの先で、大きな爆発が起こる
パラパラと、破片が海へと飲み込まれていく
守れなかった
守ると決めたのに
自分は、その人のために戦ってきたのに
その人を守るために、敵を倒してきたのに
苦しくても悲しくても、マナのためにと、存在意義を掲げて
僕は、守れなかった
最後の、最後で―――
(  ゚σ゚)「マナぁぁぁぁぁぁ!」


354:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 01:17:19.36 ID:lSAjZWfl0
コックピットに手をつく
涙が、後から後から溢れてくる
(  ゚σ゚)「マナ……! マナぁ……」
???<うっせーよお前。でけー声出すな>
(  ゚σ゚)「……な……?」
突然入った通信に、どこからだとモニターの外を見渡す
視線の先に、どす黒い紫のMSが2機、その向こうには、大型の戦艦が構えていた
マナ<な、内藤さん……>
(  ゚σ゚)「マナ!? 無事、なの……?」
フヨフヨと力なく飛ぶ"ラジアル"を肉眼で確認し、力を抜く
思わず制動をも止めてしまったため、がくんと重力に引かれる
それを見ていたのか、先程の男が溜め息をついた
???<おい、そこの赤いの。そこのMA乗ってるやつ連れて帰れ>
(  ゚σ゚)「……お前、誰なんだよ」
???<いいから、帰れっつってんの>
それだけ言うと、2機のうちずんぐりとした方が、少し前に出た


358:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 01:19:33.00 ID:lSAjZWfl0
両機とも機種を割り出せず、OSはアンノウンとしか伝えてくれなかった
ずんぐりとした方は、両手に大型のバズーカ、背中にミサイルポッドを抱え、爆撃に特化した機体だと推測する
マナを助けてくれたのは、おそらくこのMSだろう
もう片方は、量産型、且つたいした装備も無い"ハルパス"よりも、シャープな形をしている
両手に手甲のようなものが取り付けられ、背中には大型のバーニアを装備している
???<あー、俺は地球連合所属のもんだ。領海付近の戦闘は、これ以上続けるわけにはいかねぇ。そんで、そっちの撤退を要求する。大局は決してるからな。……この要求がのまれない場合、こっちは全力でお前等を潰す>
言葉遣いを知らないのか、めちゃくちゃな物言いで要求とやらを述べた
モニターの隣にいる人物は、興味なさげに俯いていた
マナ<内藤さん、ここは撤退しましょう……>
マナが辛そうな声で、そう言った
(  ゚σ゚)「わかった……」
仕方なしに、機体を翻す
('A`)<ブーン……!>
(  ゚σ゚)「…………」
……僕は敵を倒した、だけだ……
守る、ために……


360:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 01:21:12.45 ID:lSAjZWfl0
('A`)「ブーン……!」
紫のMS2機が"ヘイト"と"アブソリュート"の前に立ちはだかり、二人の間を隔てる
手にしたレバーを、握り締める
ツンを、殺した……!
('A`)「どけぇぇぇぇぇぇ!」
"グラム"を振りかぶり、重装備の機体に斬りかかる
???<あぁ?>
重装備のMSは、その容姿のわりに機敏な動きで、一閃を避けた
邪魔をされたことに激昂し、もう一度"グラム"を振り上げる
と、そのすぐ横にいたMSが突っ込んでくる
咄嗟に動けず、蹴り飛ばされる
???<撤退しろっつってんだろうが! もう次はねぇぞ!>
通信機の向こうの男の声が、怒気を孕む
CIC<"ヘイト"、帰艦してください。これ以上の戦闘の続行は不可能です。残念ですが……>
自艦から通信が入り、撤退命令を伝えられる
???<おら、さっさと帰れよ>
煽るように言うその声が、更に神経を逆撫でする
もう一度"グラム"を構える


364:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 01:23:33.88 ID:lSAjZWfl0
すると、その背後で何かが炸裂した
信号弾……
駄目押しのそれに、"グラム"を降ろし、機体を翻した
こちらが撤退するのを確認すると、紫のMS2機も、向こうの戦艦に向っていった
CIC「大丈夫ですか?」
"ヘイト"をハンガーへ入れると、艦が進行方向を変え、逃げ出していくのがわかった
憐れみのつもりか
こちらを心配してCICが声をかけてくれたが、返答せずに通信機のスイッチを切った
('A`)「ふ……くっ……」
歯をギリギリと噛み締める
ツンは俺を庇って死んで、俺はブーンを殺せなくて
そして結局、俺など殺す価値もないというのか……!
('A`)「くっそぉぉぉぉぉぉ!」
だん、とモニターを叩きつける
殺意と屈辱と失意で、目が眩む
絶対に殺してやる……!


368:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 01:26:50.63 ID:lSAjZWfl0
( ^ω^)「…………」
マナ「大丈夫ですか……?」
( ^ω^)「うん……」
マナ「…………」
ほぼ大破した"アブソリュート"から、運び出されるようにしてパイロットルームへと足を運んだ
脱力し気が抜けて、椅子に深く腰掛ける
ξ゚⊿゚)ξ≪好きだよ、ブーン≫
( ^ω^)「うん……大丈夫……」
ずきずきと、頭が痛い
あの少女の言葉が頭を離れない
頭の中で誰かが、泣いている
???「よー、大丈夫か? 赤いの」
パイロットルームに、先程の二人が立っていた
彼等がいるということは、宇宙連合は要求をのんだということだ
きっと、その提案をしたのは艦長なのだろう
???「んだよ、せっかく挨拶にきてやったのにしけた面しやがってよぉ。なぁ?」
隣につき従っていた髪の長い少女は、うるさい、と呟いた
黒の髪を整髪料で四方に跳ねさせ、大きなイヤリングを方耳にしている男と、ウェーブの長い黒髪で目元を隠した、暗そうな少女だった
???「俺はゼノン、コイツはツァール。まぁ、名前くらい覚えとけ。……あぁ、俺はお前のこと知ってるから、別に自己紹介はいいぜ」
男が、相変わらずの大声で名乗った
隣に立っている少女は、耳を塞いでしまう


370:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 01:28:52.99 ID:lSAjZWfl0
ゼノン「つか、宇宙の連中のMSがどんなもんか見にきてみりゃ、ぶっ壊れてるしよぉ……。お前弱いんじゃね―の?」
( ^ω^)「……4機、墜としたお」
あまり好感の持てそうな相手ではないなと、心の中で思う
へぇー、と男は言ったが、あまり称賛しているという感じではなく、侮っているようだった
ゼノン「まぁ、4匹倒せたんなら、なかなかじゃねぇの? ま、俺は10匹落としたことあるけどな」
ゼノンが、腕組をして言った
隣でツァールが、ぶつぶつと何かを言っている
それより……
( ^ω^)「お前、今なんて言った?」
ゼノン「はぁ? だから、10匹倒したっつってんだろ」
( ^ω^)「そんなことじゃない。匹って、どういうつもりなんだ! お前は―――」
MSに乗っているのは、人なんだぞ
それぞれに人格があって、想いがあって……
『大切なものを守るという、体のいい言い訳を隠れ蓑に、どうでもいい人間を撃つか? 殺すか?―――』
( ^ω^)「…………」
ゼノン「あんだよ? MSぶっ壊すのも、ゴキブリ潰すのも同じだろーがよ」
隣でツァールが、ゴキブリは嫌い、と呟いた
ゴキブリと、同じ?
そんなはずは無い
彼等も僕等となんら変わらない、きっと、誰かのかけがえの無い存在で……
だが、果たして僕に、コイツに反論する権利があるだろうか
こいつが言っていることも、僕が今さっきやってきたことも、同じだ
言い訳があるか、無いかというだけの違い


372:ダメな子 ◆L3bTxC/JR6 :2006/03/16(木) 01:31:09.56 ID:lSAjZWfl0
( ^ω^)「……ちょっと、休んでくるお……」
そう言い残して、よたよたと部屋を後にする
ゼノンが何か叫んでいたが、無視して自室に戻る
『間違っていることに何を重ねても、正しくなったりはしない!』
( ^ω^)「…………」
ツンと言う少女を殺して僕は、嬉しかっただろうか?
幸せになっただろうか?
世界は、平和になっただろうか?
('A`)≪くっそぉぉぉぉぉぉ!≫
殺して、憎悪を向けられて
敵を殺し続けて、最後は本当に、平和になるのだろうか……
( ^ω^)「だって、しょうがないじゃないか……!」
そう一人ごち、ベッドに突っ伏す
敵を倒さないと、誰かを守れないのは、事実なのだ……
PR
【2006/03/16 06:52 】 | ( ^ω^)ブーンはガンダムのパイロットのようです | comment(0) | trackback(0)

<<( ^ω^)ブーンはガンダムのパイロットのようです 番外編 | HOME |( ^ω^)ブーンはガンダムのパイロットのようです part7>>

COMMENT:
COMMENT EDIT :















TRACKBACK:
トラックバックURL


<<( ^ω^)ブーンはガンダムのパイロットのようです 番外編 | HOME |( ^ω^)ブーンはガンダムのパイロットのようです part7>>

忍者ブログ [PR]